「正月病」で気持ちが落ち込む、体がだるい、眠れない 不調を招く三つの理由 帰省も一因に…対策は?
仕事のことを考えないのも大切
――帰省などはせずに、一人で過ごすという人もいます。誰かと過ごせる人はいいですが、年末年始は友人などに連絡を取ることを遠慮して、孤独になってしまうケースもあるのではないでしょうか。 一人の時間が増えると、つい、普段は考えないことを考えてしまいます。年末に追い込んで仕事をし、休みに入ると燃え尽きてしまって何もできない。そのまま、仕事始めの日を迎えてしまう――という人もいます。仕事が思うように進まなかった場合などは、自分をせめてしまいがちです。 休みに入ったら、仕事のことはできるだけ考えない。「切り替える」ことは、心身の不調に陥らないために必要なことです。ただ、仕事のことを忘れるのは、「サボっている」と考えてしまう人も多いです。私も、頭では分かっていますが、なかなか切り替えることが上手にできません。 しっかりと休むことは、休暇明けに仕事の効率を上げることにつながります。「休む自分を許す」ようにしていただき、「今、この瞬間」の活動や出来事を楽しむようにしましょう。
計画を立ててみる
――気持ちが落ち込んだり、体がだるかったりしている状態で、仕事を再開させるというのは、考えただけでも気が滅入(めい)ります。 休み明けは、あまり頭を使わなくてもできるような単純作業に取り組むようにしてみてはどうでしょうか。ポイントは、あらかじめ取り組む仕事の計画を立てて、それに沿って進めるということです。計画は、少なめに立てましょう。自分で決めたことを実行できると達成感があり、やる気が出ることにつながります。 今は、リモートワークという選択肢もあります。職場の状況にもよりますが、組み合わせるとよいでしょう。 ――回復しない場合、医療機関は受診しなくてもいいですか。 仕事を再開させてから2週間程度たっても回復しなければ、適応障害など、心の病気を患っている可能性があります。その場合は、メンタルクリニックなどを受診し、専門医に相談してほしいと思います。
まつなが・みき
立教大学現代心理学部心理学科教授。公認心理師、臨床心理士。専門分野は臨床心理学。うつ病や不安症に悩む方々の心理的支援として、認知行動療法の研究・実践に取り組んでいる。また働く人のメンタルヘルスや周産期うつの予防に関する研究もおこなっている。著書には、「周産期のうつと不安の認知行動療法」(日本評論社)「もう一歩上を目指す人のための集団認知行動療法治療者マニュアル」(金剛出版)などがある。