エシカルバンブー、竹由来の無添加洗剤で竹害を「竹財」に
■ 前例のない製造工程をゼロから作り上げる
――天然の素材だけを使うにあたり、大量生産品としての品質をどう確保しているのでしょうか。 田澤:最初に取り組んだのが「飲めるぐらい安全」な品質の確保でした。これをクリアしなければ生産規模を拡大したときに環境破壊を引き起こし、お客さまや社会に大変な迷惑をかけると考えたからです。そこで、ある大手の研究機関に成分分析を依頼し、安全なことを証明するデータが得られました。 経験とカンに頼っていた製法を可視化するのもハードルが高く、安定した品質で作れるようになるまで約1年半かかりました。竹の種類や伐採の時期によって成分に差があり、炭の焼き方によっても品質にバラツキが出ます。これらの工程を一つひとつ細分化し、炭の大きさから抽出の速度に至るまで細かく設定しました。 竹炭を使った洗剤というもの自体前例がなく、工程を考える際には樹木の研究者や抽出液の専門家など色々な人を訪ねてリサーチを重ねました。国会図書館にも通い、竹の専門書にもずいぶん当たりました。 当初は「本当にビジネスになるのか」といった声も聞かれましたが、時代がエシカルな方向に進むに従って状況が変わってきました。広告を一切行わないにもかかわらずバンブークリアの売り上げは当初の150倍に、お客さまのリピート率は88%になりました。口コミを通してファンが広がったおかげです。 ――お客さまからは、どんな声が寄せられていますか。自治体も注目しているようですね。 田澤:衣類用洗剤として家庭で愛用されているほか、洗濯洗浄剤が不要になるという理由でクリーニング店やコインランドリーでの採用も増えています。掃除にも使われており、木の床をバンブークリアで磨くと木材本来の香りが戻ると評判です。 山口県は2023年、「YAMAGUCHI Bamboo Mission(ヤマグチ・バンブー・ミッション)」という竹利活用プラットフォームを立ち上げ、47社・団体が参画しています(24年9月現在)。県内の竹林は全国4位の1万2000ヘクタールもあり、まだまだ利活用できるポテンシャルがあります。