エシカルバンブー、竹由来の無添加洗剤で竹害を「竹財」に
記事のポイント①「バンブークリア」は、竹由来の天然成分だけで作る無添加洗剤②山口県の放置竹林の竹を資源として活用し「竹害」の解決に貢献する③竹に新たな価値を見出し、100年・200年先まで続く産業に育てる
エシカルバンブー(山口県防府市)が製造・販売する「バンブークリア」は、天然成分の竹炭、竹炭灰、湧き水だけで作る無添加洗剤だ。原料は県内の放置竹林で伐採した竹を使い、繁殖した竹が生態系を破壊する「竹害」の解決に向けた一翼を担う。代表取締役の田澤恵津子氏は国産竹のブランド化を図り、100年・200年先まで続く産業に育てたいと未来を見据える。(オルタナ副編集長=長濱 慎) ■ 「口に入れても安全な洗剤が欲しい」という声から誕生 ――竹を使った洗剤は、どういった経緯で生まれたのでしょうか。 田澤:エシカルバンブーの前身の会社で、2010年に竹繊維を使ったタオルの販売を始めました。そして、お客さまの一人から「子どもがタオルを口に入れてしまうが、柔軟剤の匂いがして心配。口に入れても安全な洗剤はないのか」という相談を受けたのが始まりです。 調べたところ、タオル同様に「竹」を使うのが良さそうだとなりました。竹のアルカリ成分には皮脂汚れを分解する働きがあり、昔の人々は竹灰を水に混ぜた灰汁(あく)を洗濯に使っていたのです。 山口県・防府市で灰汁を作っている工場も見つけました。工場といっても、自宅横のガレージで地元のおじいちゃんがボランティアのようなかたちで細々と作っているのが実態でした。それでも私は「サステナブルな製品やサービスが求められるこれからの時代、必ずビジネスになる」と、可能性を感じました。 こうして工場の事業を承継した上で2016年にエシカルバンブーを設立し、小さなプレハブからスタートしました。ソニーやパナソニックをはじめ、最初は小さな町工場だった企業も少なくありません。社会のためになり、100年・200年先も続くビジネスにしたいという想いもありました。 先人の知恵を活かして開発した「バンブークリア」は竹炭、竹炭灰、ミネラルを含んだ湧き水だけを使って自然抽出法で仕上げ、界面活性剤や香料などの化学物質は一切使っていません。製造工程で有害な物質も出ないため、工場の廃液・排気処理にかかる設備投資も抑えられます。