W杯以来復帰のGK川島永嗣が代表を語る。「高みへの挑戦と情熱は何も変わらない」
他の海外組とは、メンタル面で一線を画していた。年をまたいで行われてきたシーズンを戦い終え、帰国後につかの間のオフを取って心と体を休ませ、心機一転、日本代表合宿へ臨んでいる海外組のなかで、GK川島永嗣(RCストラスブール)だけは違った。 「僕にとっては正直、シーズンが終わったとは思っていないんです」 2001シーズンにプロの第一歩を踏み出した、J2の大宮アルディージャから数えて8チーム目。ヨーロッパに限れば5チーム目となるフランスのストラスブールでの2018-19シーズンは、リーグ・アンの1試合で先発フル出場しただけで幕を閉じた。 出場機会を得たのは現地時間5月24日の最終節。元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチ氏に率いられるFCナントを零封し、1-0の痺れる勝利に大きく貢献した。ようやくシーズンが始まったという感覚が、36歳のベテランをして前述の「正直――」と言わしめたのだろう。 だからこそ、昨夏のワールドカップ・ロシア大会以来となる日本代表復帰を果たした、キリンチャレンジカップとコパ・アメリカへ向けて、心技体を充実させて臨んでいる。5日のトリニダード・トバゴ代表戦の舞台となる豊田スタジアムで、3日に行われた合宿2日目の練習を終えた川島は「メンバーもかなり変わっているし、非常に新鮮な気持ちですね」と前を見すえた。 「今シーズンは試合にかかわれない時間の方が多かったので、パフォーマンス的に何かを得られたかと言えば別に何もない。ただ、自分のなかにおいて、サッカーに対する高みに挑戦したいという情熱はまったく変わらないし、次に向かっていくうえで気持ちも充電できましたし、体のコンディションもよりよくなってきている。その意味で今シーズンはいい時間になったと思っています」 日の丸から遠ざかっている間に指揮官は森保一監督に代わり、代表選手の顔ぶれも大きく変わった。最後尾のゴールマウスにはロシア大会でリザーブだった東口順昭(ガンバ大阪)、ブラジル大会代表の権田修一(ポルティモネンセ)、そしてシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)が立った。 3月シリーズで権田に代わって招集された中村航輔(柏レイソル)を含めて、ワールドカップの大舞台で実際にプレーした経験のないGKが招集されてきた。森保ジャパンで新たに生まれた軌跡を、川島はフランスの地から第三者的な視線でとらえていた。