W杯以来復帰のGK川島永嗣が代表を語る。「高みへの挑戦と情熱は何も変わらない」
「そう言われると、何だか荷が重いような気もしますけど……でも、経験を伝える前に、いままでやってきたことを自分自身がゴール前で見せることが一番だと思う。この場所に呼ばれている以上は、まずは自分が選手としてアピールすることは変わらない。そのうえで自分が経験してきたことを、周囲へのプラスアルファに変えていければいいのかな、と」 記憶を振り返れば川口と楢崎は言葉ではなく、試合や練習におけるパフォーマンス、そして眩しい背中を介して大事なことを伝えていた。2人から託され、そして後輩たちに託そうとしているバトンの重さを、川島はしっかりと受け止めている。 「年齢に関係なく、日本代表はサッカー選手にとって憧れの場所。本当に誇り高い仕事だと思うし、ここに関われる幸せはいまも感じている。自分が生まれ育った国のために貢献したいという気持ちはいままでも、そしてこれからも変わらない」 ストラスブールに加入した昨夏から週に一度、マーケティングとファイナンスの講義を受け始め、シーズン終了とともに晴れて卒業した。フランス語もほぼ完璧にマスターしている。 「サッカー選手としてだけではなく、多角的に自分を見るいいチャンスになるかなと思って。まあ、時間とエネルギーもあったので」 いつかはサッカーに還元させられればと、自らへの先行投資を惜しまなかった姿勢はいまも変わらない。最年長になっても貪欲なまでに成長の二文字を追い求める、求道者をほうふつとさせるオーラこそが、大迫や久保を含めた後輩たちにとって最高の羅針盤となる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)