【ヤマハMT-09 Y-AMT試乗】クラッチ操作不要&自動変速も可!スポーツ走行への「効き目」は?
バイクにクラッチレスブームが到来!? ヤマハはスポーツモデルMT-09に新変速機構を搭載
クラッチを使わずに変速する機構はこれまでも存在し、ホンダのDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)は、現在ミドルクラス以上のラインナップでひとつの定番仕様になっている。また、最近はホンダ-Eクラッチというそれよりも簡便そうな機構も登場した(CB650RとCBR650Rに装着仕様がある)。 【画像20点】ヤマハMT-09 Y-AMTの機能と特徴、足着きを写真で解説 カワサキは今年、2024年に発表したZ7ハイブリッドに、自動変速システムを搭載。しかし、同車自体が市場に出回っていないため未体験(当初6月発売予定だったが、発売延期となった)。 そしてBMWはR1300GSアドベンチャーに、ASA(Automated Shift Assistant)を新採用した。これは、クラッチとシフト各々にアクチュエーターを装備してクラッチレス変速とした機構で、当記事で紹介するヤマハY-AMTと似ている要素があるように見えるが、日本ではまだ発売されておらずこちらも未体験である。 ともあれ、これらは発進時にクラッチをミートする、変速時にクラッチを切る、停止時にクラッチを切るという動作を煩わしいと感じる需要があると踏んで、各社が力を入れている機構になるだろう。 実は、ヤマハのクラッチレス機構への取り掛かりは早く、Y-AMTの原型とも言える機構YCC-S(Yamaha Chip Controlled Shift)をFJR1300ASに搭載し、2006年に登場させている。 各種操作スイッチと各センサーから集めた情報を制御するコントローラーと、クラッチ/シフトの各アクチュエーターからなる点は、MT-09に搭載されたY-AMT(Yamaha Automated Manual Transmission)と基本的に同様。細かい制御の仕方については進化があるが、乗り手の操作方法での特徴はそれぞれ以下のようになる。 【YCC-S】 ・クラッチレバーなし(発進・変速・停止時にクラッチ操作不要) ・ハンドシフト(+-レバー)での変速操作 ・フットシフト(変速シフトペダル)あり ・MTモード+D-MODE(マイルドなTモードとスポーティなSモードの2パターンから選択可能) ・AT(自動変速)モードなし ※手で変速、足で変速は任意で選択可能。2006年の初期型YCC-Sは、停止時に自動で1速に戻る機構はなかったが、2013年のYCC-S第2世代で電子制御スロットルと組み合わせられ、停止時までに1速に自動で戻る機構が採用された。 【Y-AMT】 ・クラッチレバーなし(発進・変速・停止時にクラッチ操作不要) ・ハンドシフト(+-レバー)での変速操作 ・フットシフト(変速シフトペダル)なし ・MTモード+5モード(ストリート、スポーツ、レイン、カスタム1&2の5つのライディングモード選択可能) ・ATモード(DとD+モード選択可能)あり ※フットシフトがなくなり、変速はハンドレバーのみ。停止時までに1速に自動で戻る機構は採用され、新たにATモードも付加された。 そして、シフトアクチュエーターとクラッチアクチュエーターを採用し、それぞれが変速、クラッチの自動操作を担うことは同じ。しかし、機構の名前を変更した理由は、FJR1300ASのYCC-S以上に、MTモードを積極的に楽しんでもらいたいとの意味を込め、Y-AMTと命名したのだという。 最初にY-AMTを採用したのが、ビッグツアラーでなく、より軽快な特性のMT-09とした点でもその意図はよくわかるが、実際に運動性能(走る、止まる、曲がる)への影響を最小限に抑えるべくユニットの重量は2.8kgとし、同車のスタイルや取り回しを損なわないよう、アクチュエーターはエンジンシリンダーの背後に隠れるように配置されている。