裁量労働制、20年ぶりに新たな業務が加わる 「本人の同意」全ての職種で必要に
2024年4月1日から、裁量労働制のルールが見直された。労働者の働きやすさを重視した整備が進む一方で、就業条件の明示や同意の義務付けなど、企業側には対応が求められる。柔軟な働き方を取り入れることで、人材不足の解消に繋がる可能性もある。 【動画】専門家に聞く「事業承継はチャンスだ。」
◆裁量労働制の対象が拡大、本人の同意が必要に
裁量労働制は、あらかじめ設定した時間に労働したとみなす制度だ。 1日に実際に働いた時間が何時間かによらず、「みなし労働時間」分を働いたとし、労働基準法の上限を超えない範囲であれば、設定した時間分の賃金が支払われる。 勤務時間が労働者個人の裁量に委ねられ、時間に固定されない働き方で、生産性を高めるのが目的だ。 対象となる業務は「企画業務型」と「専門業務型」の2タイプがある。 今年4月のルールの変更点は大きく3つある。 1、専門業務型の指定職種にM&A業務が加わる。 専門業務型の適用範囲が拡大され、新たに金融会社や証券会社でのM&Aに関するアドバイザリー業務が加わる。 これまで弁護士や証券アナリスト、プロデューサーや大学教授などの職種で19業務が指定されていたが、約20年ぶりに追加されて20業務となった。 株式譲渡や事業承継の相談・助言など業務の専門性の高さが理由だ。 2、専門業務型でも労働者本人の同意が必要に。 経営企画や営業、人事、労務・財務、広報などの職種で、企画、立案、調査、分析を行う業務が該当する「企画業務型」は、以前から労働者本人の同意が必要であった。 対して、「専門業務型」は労働者本人の同意は不要だったが、今後は必須となる。 企業側は労働者に対して、制度の内容や賃金・評価制度を明示しなければならない。 なお、労働者は一度同意をしても撤回できる。 裁量労働制に同意しなかった労働者に対する不利益な取扱いも禁止される。 3、労働者の健康確保の措置が求められる。 深夜労働の回数制限や労働時間の上限規制などが、裁量労働制で働くすべての労働者に適用される。 一定の労働時間を超えた場合には、医師の面談を実施するなど、個別の措置も必要になる。