ロシア産ガスの供給停止がモルドバの親ロ派地域を直撃、ほぼすべての産業がストップ
親ロシア派が支配するモルドバの分離独立地域は、隣国ウクライナ経由でのロシア産ガスの供給が停止したことを受け、長期にわたる停電に直面しているという。 沿ドニエストル地方では暖房と温水の供給削減に加え、3日には初めて1時間の計画停電が実施された。翌4日には3時間に延長された。同地域の自称大統領、ワディム・クラスノセルスキー氏は、5日には4時間に延長すると自身のテレグラムで明らかにした。 食品生産を除く全産業が操業停止を余儀なくされた。同地方の主要都市ティラスポリの住民は、本格的な寒さの到来を心配している。ある女性は「昨夜はとても寒く、壁が湿っていて少し大変だった。子供をしっかりくるんでいたので大丈夫だったが、これから凍えるほどの寒さになると予想されている」と語った。 沿ドニエストル地方は、ウクライナを横断するパイプラインを通してロシアの政府系ガス会社ガスプロムから天然ガスの供給を受けていた。ロシアとの戦争が続くウクライナは昨年末で切れる協定の更新を拒否し、モルドバへのガス供給は1日に停止した。 ロシア語が主要言語である同地方は、旧ソ連時代の末期にモルドバからの分離独立を一方的に宣言。緊張関係がありながらも共存してきた。 モルドバ政府はこの危機の原因はロシアにあると非難し、ガスプロムに対し代替ルートでガスを供給するよう求めた。ロシアは、ガス供給を武器にモルドバにゆさぶりをかけているとの指摘を否定。契約更新を拒否したウクライナ政府を非難している。 モルドバのレチャン首相は先週、安全保障上の危機に直面していると述べ、国内生産およびルーマニアからの電力輸入を組み合わせた代替策を準備していることを明らかにした。