巨人の「微陽性騒動」が専門家釈明で決着も全球団PCR定期検査実施決定で無症状感染者の対応に不安残る
そして「微陽性」という言葉は、もうひとつの問題提起につながることにもなった。坂本、大城のような無症状感染者が出た場合の対応、措置の問題だ。この日、全12球団の首脳陣、選手、関係者のPCR検査の実施が、専門家チームから提言され実施する方向で合意した。Jリーグの2週間ごとに対して、プロ野球は、開幕前、そして開幕後は、1か月ごとの定期検査となり、平等性を担保するため、できる限り、同じ期間に実施し、PCR検査を行った機器やキットの種類の開示も義務づけるが、問題は陽性者が出た場合の対応だ。 特に無症状感染者への対応、復帰基準が問題となる。 開幕前に行う12球団のPCR検査では、2400人以上が対象となるため、坂本、大城のような無症状感染者が出ることは十分に考えられるからだ。その対応の仕方次第では、開幕の行方がわからなくなる。 PCR検査は「健康診断のような」定期検査と、症状が出た場合の「緊急検査」に分けられるが、いずれの場合も、陽性反応者と、濃厚接触者は、ただちにチームから離脱させることになる。 愛知医科大学の三鴨廣繁教授は、「一番議論になったのは復帰の基準です。症状のあった者に関しては発症日から14日を経過してかつ症状軽快から72時間を経過した時点で復帰が可能。これは一般の方々と同様です。ただ一般の方々は職場復帰する際にPCR検査は不要だが、プロ野球とJリーグでは、復帰前のPCR検査を行うことを原則に。また症状のあった者のうち、発症日から10日が経過する以前にすでに症状が軽快した者に関しては、症状軽快してから24時間が経過した後に24時間間隔で2回のPCR検査で連続陰性が確認できれば退院して復帰できる。無症状感染者は、一定の経過観察期間をおいて、24時間、2度の連続陰性が条件になります。 ただ『退院してから2週間、様子を見なければいけない』ということが今、行政指導にあるので、これは今後、行政にも早期復帰については医学的見地から働きかけていきたい」と説明した。 無症状感染者に関しては、退院後「2週間自宅待機」という厚労省のガイドラインに反する方針を採用しようというのである。 今回の坂本、大城に関しては「14日間を要したとしてもギリギリ間に合うのではないかという判断」という見解を賀来・特任教授が示したが、この方針をあてはめれば、即復帰可能ということになる。 斉藤コミッショナーも臨機応変な対応が必要だと説く。 「陽性になった選手をどう処置していくか、隔離は当然ですが、ご存じのように日本全体が悩んでいるのは、疫学的な問題と、厚労省が設定している法律の問題が、プラグマティックにマッチしていないということ。そう言うことは失礼だが、最初は警戒してよかったが、いろんなケースが出ているのに一律に2回(PCR)検査をして陰性になっている選手は退院はOKだと、それから2週間は自粛しなさい、隔離しなさいというルールは、今の厚労省、保健所が求めているデータ。データは、どんどん変わってきている。日に日にというとオーバーかもしれないが、状況は変わっている。その辺を判断しながら、先生と相談しながら、選手にケースが出た場合の対応を考えていく。常に変動している。確定的なものが、厚労省にもないわけで、みんなで現実論を探りながらやっていくのが現実的ではないか」