現代人の暮らしが”バグ”る「虫村(バグソン)」に行ってみた! 不動産×テクノロジーの第一人者が、山奥に貨幣経済外の集落をつくる理由って? 神奈川県相模原市・藤野
都会であれば、私立校だけでなく塾や教室など、多数の選択肢もあります。安定した教育環境を捨てることに加え、将来、お子さんが社会に適応できるかの未知数な状況に、不安はなかったのでしょうか。 「これから先、AIが普及していくと、詰め込み教育で養われる知識量が意味をなさなくなっていく。では結局、大事なのはその子の『興味関心』『意欲』で、そこを大事にして伸ばしていきたいと。ここ藤野に引越してきてからは、子どもたちはスマホやタブレットは見向きもせず、ずっと山や庭にいます。虫や鳥、植物など刺激や発見がいっぱいあるし。忙しいみたいです(笑)」と中村さん。やはり、子どもは遊びの天才なんですね。普段、スマホや動画で子育てをしている親の一人として、耳が痛いです。
娘さん作。
もとから生えていた桑の木の枝から実をとり、おやつ代わりに。野山の恵みを受け取っています。
桑の実。
虫村には価格はない。だからこそ「はて?」と考える。その瞬間、バグが生まれる
中村さんが藤野に自邸を建てていれば里山への移住の話となりますが、中村さんはそこにはとどまらず、「場」「集落」である「虫村(バグソン)」をつくるという計画を立て、現在、実行に移しています。しかも、利便性の高い藤野駅やICの近くではなく、より奥まった林や里山の気配が色濃い土地を選びました。 虫村は、山を含めて敷地約4000坪のなかに、中村さん家族が暮らす「主屋」、合宿や宿泊場所にもなる「HANARE」、賃貸として貸出す「 長屋棟」の3つで構成されています( 長屋棟は建築中)。
手前の黒い建物が「HANARE」、奥の建物が主屋。
エントランスの脇には大型の雨水タンク。飲料水にもなりますが が、主に生活用水として利用。
「主屋は今、私たち家族が暮らしている場所です。『HANARE』は藤野を訪れた人がワーケーションや短期合宿などで、少しでも里山暮らし、環境や将来の暮らしについて体験したり感じたりできる場所です。電気や上下水道がゆるく『オフグリッド(※)』になっていて、次世代の環境や将来の住まい方、ライフスタイルについて、体験し、考えるきっかけにしてほしいと思っています」(中村さん)といいます。 ※オフグリッド:電力会社の送電網(grid:グリッド)につながることなく、電気を自給自足すること 今回、取材チームはこの『HANARE』に滞在させてもらいました。
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