日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」
「大きな謎を解く旅」の終わり
このダレスの「6・30メモ」を「発見」したことで、私の7年間におよぶ「大きな謎を解く旅」も、ようやく終わりを告げることになりました。 米軍が自分で条文を書いた「旧安保条約・米軍原案」(1950年10月27日案)のさらに奥に、ダレスが全体のコンセプトを示した「6・30メモ」(同年6月30日案)があったということです。それをチャートにすると、次のとおりです。 (1) 朝鮮戦争の開戦直後に、ダレスが軍部を説得するためにつくった「6・30メモ」 (1950年6月30日) ⇩ (2)朝鮮戦争のさなかに、軍部自身がつくった「旧安保条約・米軍原案」 (1950年10月27日) ⇩ (3) 戦後、日米間で結ばれたオモテ側の条約や協定 + 密約 (1951年~現在) これで終わりです。 「突然の朝鮮戦争によって生まれた「占領下での米軍への戦争協力体制」が、ダレスの法的トリックによって、その後、60年以上も固定し続けてしまった」 ということです。 だから現在、私たちが生きているのは、実は「戦後レジーム」ではなく「朝鮮戦争レジーム」なのです。朝鮮戦争はいまも平和条約が結ばれておらず、正式に終わったわけではない(休戦中)ので、当時の法的な関係は現在もすべてそのまま続いているからです。 そして最後に、もっとも重要なことは、これから私たちがその「朝鮮戦争レジーム」を支える法的構造に、はっきり「NO」と言わない限り、ダレスの「6・30メモ」や「旧安保条約・米軍原案」に書かれていたその内容が、今後も少しずつ国内法として整備され、ついには完成されてしまうということです。 日本の戦後史に、これ以上の謎も闇も、もうありません。 さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
矢部 宏治