一文字空けるか、空けないか…「紙に文字を書く」のが「ふつう」ではなくなった今、揺れ始めている「日本語の表記」
正直、一文字下げの作業が面倒っちい
私はここのようにインターネットに記事も書くし、たとえば週刊現代という紙媒体の週刊誌にも原稿を書いている。 インターネット記事では、一文字空けずに書く。 横書きがふつうだからだ。 でも紙の雑誌の原稿は一文字下げないといけない。 正直、一文字下げの作業が面倒っちい。 スペースを押して、全角スペースを入れればいいだけのことであるが、なぜかよく半角スペースになって、それを直すのに一作業いるので、原稿書いているペースが崩れそうで、面倒っちい。そのまま一文字空けずに最後まで書き切って、あとで一文字下げをする、という処理をすることが多い。 「段落の冒頭は何がなんでも一文字空いてないといけない」と強くおもいこんでいた時代は、空けていないのは間違いなので、手間がかかっても空けていた。 でも、インターネット記事では空けてない、という習慣がつくと、べつだんそんなに必死で空けなくてもいいんじゃないか、とおもってしまっている。 しかたない。 なので大学生の提出物を見ていても、段落ごとに一文字下がっていなくても、まあいいかとおもっていちいちチェックを入れない。 一緒に添削している講師は、本業が編集者なので、そういうのに全部すべてチェックを入れて、きちんと教えなければいけないですよ、というのだが、私はそこまでする必要を感じていない。 文章を書くときは最初の一マスは空ける、改行するたびに一マス空ける、というのは、縦書きの紙の本の問題であって、国語のルールではなかったのだな、と気がついてしまった。 縦書きのときはなるべく守る、ということでいいのではにだろうか。 そしてこれは、「文章をまとまって読むこと」の価値が下がっているということにもつながっているのだろう。すこしずついろいろと変わっていく。 ・・・・・ 【さらに読む】『若者が「。」に「圧を感じる」というのは本当か…「句点が怖い」と言いだす人たち」』
堀井 憲一郎(コラムニスト)