一文字空けるか、空けないか…「紙に文字を書く」のが「ふつう」ではなくなった今、揺れ始めている「日本語の表記」
「読みやすく」するために
そして、冒頭文字一文字下げ、および改行したら一文字下げは、縦書きの習慣なのだ。縦書きで紙に印刷するときは、それが守られる。 いま御覧になっているこの記事は、インターネット上の記事でここには「一文字下げ」の習慣はない。 紙媒体ではないし、横書きである。 冒頭も、段落始めも、詰めてある。空きなしに始まっている。 インターネット記事は、段落そのものをあまり作らない。 ものによっては、一文ごとに改行する。 さらに全行をすべて一行空ける、という記事もある。 「読みやすく」するためだ。 スマホでは、これぐらいのほうが読まれやすい、とされている。本当かどうかはしらない。でもそう言われていて、何となくそれに従っている。 もちろん雑誌の時代でも、読みやすさは大事にされていた。 まだ手書きで文章を書いていた時代、雑誌でライターの先輩に教え込まれたのは、「すぐに改行しろ、難しい漢字は使うな」、である。昭和59年に教わった。それ以来、何となく守っている。 もちろん縦書きか横書きか、という問題が大きい。
原稿用紙かインターネットか
さっきから言っているように、一文字空けるという文化は、縦書き文化の習慣である。 横書きでは、気にしない。 そしてインターネット世界では公式の文章も、横書きがふつうである。 いまのインターネットでは、なるべく文字が詰まってないほうがいいらしい。 頻繁に改行される。 そのうえ一行空けることも多い。ある程度の行数で、頻繁に見出しを入れる。 ふだん、そういう文章だけ見て暮らしているなら「文章の冒頭は一文字下げる」という習慣に気づかなくなるのはしかたがない。 「文章冒頭は一文字下げて、改行ごとに一行下げる」というのは原稿用紙での書き方ルールである。 でもいまどきの大学生が、原稿用紙に文字を書くことはあまりない。 レポートとか課題のエッセイや短文を書くのは、だいたいパソコン内の文章作成ソフトを使って書く。マイクロソフトのWord(ワード)であることが多いが、そこは何だっていい。 この場合、原稿用紙を使っているわけではなく、そのときに冒頭一文字下げたほうがいいのかどうか、決まりはない。 大学生が一文ごとに改行したレポートを出せば一文字下げは必要なくなる。 変だとおもうが、ルールが明確にされてないから、それだけでダメだとは、私は言いにくい。 一文字下げたり下げなかったりして、統一性がないと、気になるが、それもまた、決定的な間違いとは言いにくい。不統一な書式であって何がダメなのかと聞かれれば、みっともないから、という以外の答えはない。あまり説得力はない。