プロ野球FA戦線、前代未聞の"様子見合戦"はなぜ起きた? 主砲も正捕手もみんなそろって「熟考! 熟考!! 熟考!!!」
同様に、「これまでならありえない」といえるのが巨人・大城の動向だった。 「過去に巨人から国内FA移籍した生え抜き選手は、1993年オフに横浜へ移籍した駒田徳広さんのみ。結局、大城は熟考の末に残留しましたが、これも時代が動いた象徴的な出来事だったと思います」 大城の場合、選手としての資質を考えると、巨人以外で活躍する可能性も秘めていた。 「キャッチング技術やスローイング、バッティングなど、スペックは非凡なものを持ち合わせていますが、メンタル面が捕手らしくないと指摘されることも。今季は3シーズンぶりに一塁で起用されましたが、パ・リーグならDHもある。打力が課題の西武は欲しい選手だったと思います」 捕手勢ではほかに、海外FA権を持ち越している阪神・梅野、ヤクルト・中村が残留を選択。今季、国内FA権を取得した阪神・坂本は最終日まで熟考を重ね残留を決断した一方、中日・木下は早々にFA宣言した。 「坂本のキャプテンシーや経験値、配球、捕球技術はどこも欲しいはずで、甲斐流出危機のあるソフトバンクが獲得調査中と報じられました。木下はフレーミングや強肩、強打などの評価は高かったものの、今年は少し調子を落としたので、他球団がどう評価するか未知数です」 捕手もできるという点では、原口文仁(阪神)が宣言残留も視野にFA権を行使した。 「一塁、DH、代打が基本線ですが、第3捕手としても計算できる。西武など欲しい球団はありそうです」 ■"虎の主砲"が異例の熟考 阪神でFA資格があるのは前述の梅野、坂本、原口だけではない。糸原健斗は残留を決断した一方、このオフの目玉とされてきた大山悠輔は期限ギリギリまで熟考を重ねた末にFA宣言した。 「これまでの感覚でいえば、来季は藤川球児新監督の下での新体制であること、球界屈指の人気を誇る阪神から出るデメリットの大きさ、さらに引退後の将来まで考えると、迷わず残留するのが筋でした。 ましてや大山はドラフト1位の生え抜き、かつ、4番を務める阪神の絶対的存在です。その選手がFA宣言したことは大きなインパクトがありました」