【師弟スペシャル対談4】関塚隆×中村憲剛。寺田周平監督がサプライズ登場!!ケンゴも太鼓判「今の福島のサッカーは本当に面白い」
「ぜひ8月31日のゲームに!!」(関塚)
――ケンゴさんも寺田監督の姿から多くを学んでいるわけですね。 中村 めちゃくちゃ勉強になっています。 寺田 またまた(笑)。でも今度、じっくり話を聞きたいよ。 中村 いや、僕こそ周平さんから監督1年目のことを詳しく聞きたいんですよ。どうやってチームを作っているのかとか、興味しかないです。 寺田 でもケンゴもS級取ったから、やっぱり監督目線で色んなものを見るようになっている? 中村 まさにそうですね。だから現役の時と目線がまったく違います。 関塚 そうか、やっぱり意識が変わったか。 中村 変わりました。と言いますか、B級、A級、S級って毎年講習に行っていたので、年々、視野が広がった気がします。 寺田 1年ずつ取っていったの? すごいね。引退から濃密な3年だったでしょ。 中村 常に課題か指導実践に追われて本当大変でした(苦笑)。引退後に最短でS級ライセンスを取りたかったんです。今の現役選手たちにも、僕のように現役の時に何もやっていなくても、引退後、3年で取れるよと知ってもらいたかったので。それに今は現役中にもB級を取れますからね。そうすれば最速で2年でS級を取得できます。 関塚 そうなんだよね。 中村 時間がかかるイメージがあると思うんですが、そんなことはないと示したかったという想いはかなりありました。 寺田 大半の人はケンゴだからできたんだって、ツッコミそうだけどね(笑)。 中村 違う、違う!! すごく必死でしたよ。だから逆にめちゃくちゃプレッシャーでしたもん。 関塚 そうだよな、そういう立場だとプレッシャーになるよな。それも最短で行くなら追試も受けられないから、パーフェクトにいかないとね。 中村 まさにセキさんが言う通りなんですよ。でもみなさんのお陰で無事に取らせていただきました。 寺田 今後が楽しみだね。 ――改めて貴重な機会ですから、ケンゴさん、寺田監督へ聞きたいことはありますか? 中村 山ほどありますよ。まず初の監督への挑戦、不安はありました? 寺田 そりゃあったよ。こういうサッカーをやりたいっていう想いはあったけど、実際に指揮はしたことがないわけだから。それにセキさんにこうやって声をかけていただいて、セキさんにとっても相当なチャレンジだったはずなので、失敗するわけにはいかないなと、緊張感はあったよね。 中村 それが、ちょっとずつ手応えに変わり始めたのはいつ頃ですか? 寺田 どうだろう? でもやっていくうちにというか、練習に対する選手たちの取り組み方が本当に良かった。そこは選手に感謝だよね。ただ、試合はどうなるか分からなかったから、開幕戦がひとつのキッカケかもね。開幕戦は岐阜に負けた(●1-4)けど、あ、こんなに上手くいくんだという手応えがあって。それこそ、開幕戦で0-8だとかボロボロにやられたらどうしようと、心配もあって。やり方を間違えていたらどうしようとね。だからその意味では開幕戦、そしてその次の試合あたりで少し安心感は芽生えたかな。それにさっきも言った通り、選手が本当によくやってくれているから。 関塚 でもトレーニング見ていたら、大丈夫だと俺は感じていたよ。しっかり練習できていたし、開幕戦は実際は敗れたけど、ボロボロにやられることはないだろうなと。 中村 トレーニングはフロンターレ時代とは違うメニューとかやっているんですか? 寺田 基本的には変えているね。良いメニューなどは取り入れながら、そこに変化を加えたりね。大関とナガネがいるから、まったく一緒だと、ふたりに「あ、一緒だ」と思われるのも嫌だからさ(笑)。 関塚 そうそう、だからふたりもフロンターレと少し違うと言っていたよ。 中村 それってコーチ時代から少しずつ考えていたんですか? 寺田 そうだね、いろいろアイデアを溜めていた感じかな。それにコーチ時代は監督がやりたいことを汲みながら行動をしていたけど、監督の立場になると、試合のこういう場面を改善したいと、練習に取り入れたいシチュエーションがすぐ浮かぶようになって、パスコン(パス&コントロール)をやるにしても、こういう要素を取り入れたいとアイデアがすぐ浮かんでくるようになったね。そういう面ではコーチと監督は大きく違うかな。 関塚 コーチはやっぱり監督のやりたいことをどれだけ具現化できるかがポイントになってくるからね。 中村 でもやっぱりコーチの経験は生きていますよね? 寺田 もちろん!! コーチを経験して一番大きかったのはやっぱり試合の時に監督の横に座っていられたこと。オニさん(鬼木達監督)の振る舞いを誰よりも近くで学べたからね。 関塚 ベンチワークのところだよね。 中村 なるほど、やっぱりコーチの経験は大きいってことですね。 寺田 ケンゴも今後のことをいろいろ考えるところだろうからね(笑)。 中村 いやーいろいろ考えますよ(笑)。「すぐ監督をやってください」と応援していただける声もあるのですが、監督と選手はやっぱり別物ですからね。僕も時々、指導者としてベンチに座らせてもらえることがありますが、こんなに違うものかと実感しています。「ピッチ遠いな」と。だからこそ、どれだけ選手と認識を共有できるかですよね。 寺田 でもケンゴ、なるがままだよ(笑)。俺もそうだったけど、指導者って監督になるにしても、コーチになるにしても、タイミングや巡りあわせだからね。 中村 そうですよね、僕は選べる立場ではないので、ひとつずつ目の前のことを頑張っていこうと思います!! 関塚&寺田 でもケンゴ以上に選べる人はいないけどね(笑)。 中村 そんなことないです!! 寺田 福島のトレーニングだったらいつでも来てよ。いつでもウエルカムだよ。1日だけでもケンゴに技術を教えてもらえるなんて、選手にとってはかなり大きいからね。今、福島と川崎は業務提携しているしさ。セキさんと一緒に美味しいモノも一杯食べさせてあげるから(笑)、本当、来てよ!! 関塚 美味しいもの一杯あるよ(笑)。桃も美味しんだよ。次は梨の時期かな。でもこれ見てよ、この間、収穫のお手伝いをしていたら、指切っちゃってさ(笑)。 中村 セキさん!!(笑) でもそんな誘っていただいて、ありがとうございます!! これは本当に行かないとかな(笑)? ――このオファーがもし実現したら、非常に面白いですね。その際は是非とも取材させていただくとして、すみません、時間もありますので、最後、締めさせてください。まずケンゴさん、J2昇格へ向けて戦う関塚さん、寺田さんへ改めてエールをお願いします。 中村 このおふたりがいるという意味でも、もの凄い親近感を抱くチームですし、成績、試合内容は非常に気にしています。ここから終盤戦へ、頑張っていただきたいです。当時はセキさんが監督で、周平さんがCBで、僕が中盤で。その関係性が当たり前でしたが、数年経つと話す内容もここまで変わるのかと、今日も新鮮でした。自分も指導者の世界に入ってきて、でも、この3人の絵を再び見られて良かったです。 関塚 でも本当にこれからのケンゴには期待しているよ。 寺田 俺の願いはひとつ、ぜひ福島に来て(笑)。 中村 最後それ!? でも本当に福島は面白いサッカーをしているので、観たことがない方はぜひ、一度、観てみてください!! ――では、本当のラストに関塚さんお願いします。 関塚 ケンゴにそう言ってもらえるのは改めて嬉しいし、やっぱり福島を盛り上げていきたいですね。8月31日も様々なイベントも用意していますので、みなさん、ぜひスタジアムによろしくお願いします!! ■プロフィール 関塚 隆 せきづか・たかし/1960年10月26日、千葉県生まれ。現役時代は本田技研でFWとしてプレーし、引退後は鹿島でのコーチなどを経て、2004年からは川崎を率い、魅力的なサッカーを展開。その後はロンドン五輪代表、千葉、磐田でも監督を務め、昨年7月から福島のテクニカルダイレクターに就任。 中村憲剛 なかむら・けんご/1980年10月31日、東京都生まれ。川崎一筋、バンディエラとしてのキャリアを築き、2020年シーズン限りで現役を引退。その後はフロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー(FRO)、Jリーグ特任理事など様々な角度からサッカー界に関わり、指導現場で多くを学んでいる。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)