「負の遺産」から一転…!大阪万博の開催、「IRの誘致」で…人口島「夢洲」をめぐる、鉄道会社の思惑
2025年大阪・関西万博の開催地である夢洲へは、将来的なIR(統合型リゾート)誘致を見込み、大阪メトロ中央線の延伸計画があるが、その他の事業者の計画については不透明な部分が多い。 【画像】 夕張市破綻から10年「衝撃のその後」若者は去り、税金は上がり… 夢洲への鉄道乗り入れはどのようなものになるのだろうか。前回記事【通勤客はどうなる…?JR東日本が突如、京葉線の「通勤快速」を廃止…その裏にある「やむを得ない事情」】に引き続き、12月10日発売される、鐵坊主氏の新刊『鉄道路線に翻弄される地域社会―「あの計画」はどうなったのか?―』よりお届けする。
オリンピック誘致予定地から万博会場へ転身
夢洲は大阪臨海エリアにある人工島の一つで、隣接する人工島の舞洲とともに、2008年夏季オリンピックの誘致では会場や選手村が想定されていた場所だ。しかし、オリンピック誘致では落選し、特に夢洲はその後の広大な空き地の開発が進まず、「負の遺産」とまで呼ばれることもあった。 その夢洲が大きな転機を迎えたのは、2025年大阪・関西万博の開催地に決まったことと、その後に続く統合型リゾート、いわゆるIRの誘致である。 IRまたは統合型リゾートと聞くと、ラスベガスなどにあるカジノホテルのイメージが強いが、統合型リゾートにおけるカジノは一つの要素に過ぎず、ホテル、大型の劇場、国際会議場、展示会所、ショッピングモールなどさまざまな要素が統合された施設であり、国際会議や大規模イベントの開催などの方が重要である。 このIR計画については、ラスベガスのホテルで有名なMGMグループとオリックスの連合体が事業者として選ばれ、2020年代後半の開業に向けて準備が進められている。
一旦凍結された大阪メトロ中央線の延伸
大阪・関西万博のアクセスとして大阪メトロ中央線の延伸工事が進められているが、夢洲への鉄道路線の建設は紆余曲折があった。 この路線は2000年に一度事業化されている。これは先に述べた夏季オリンピック誘致に伴うもので、大阪市営地下鉄(現在の大阪メトロ)中央線のコスモスクエア駅から夢洲へ向かう南ルート、そしてJRゆめ咲線桜島駅に近い新桜島駅から舞洲を経由し夢洲へと向かう北ルートが計画され、これらの2つのルートを合わせて北港テクノポート線として事業化された。しかし、オリンピック誘致に落選したことで、延伸事業は休止へと追い込まれる。 しかしながら、コスモスクエア駅から夢洲駅の間に建設された夢咲トンネルでは、道路部分が2009年に開通し、この際に鉄道部分も準備工事を完了していた。 そして、先に述べたとおり、夢洲は2025年の大阪・関西万博会場に決定。すでにトンネルの準備工事が完了していることが幸いし、コスモスクエア駅から夢洲駅までの3・2kmの区間が、大阪・関西万博会場へのアクセスルートとして再び事業化されるに至ったわけである。 当初、2025年3月に予定されていた開業だが、万博開催前のスタッフのアクセス確保などのため前倒しされ、2025年1月末の開業が予定されている。