特別展「吟遊詩人の世界」(国立民族学博物館)開幕レポート。詩をつくること、歌うこと、その現代における可能性
アジアやアフリカ、そして日本の吟遊詩人やそれらを成りたたせる文化を紹介するみんぱく創設50周年記念特別展「吟遊詩人の世界」が、大阪・吹田の国立民族学博物館で開幕した。会期は12月10日まで。実行委員長は同館教授の川瀬慈。 各地を広範に移動し、詩歌を歌い語る「吟遊詩人」は古くから存在した。吟遊詩人というと、中世ヨーロッパにおいて存在した宮廷楽師や大道芸人を指すことが多いが、アジアやアフリカにおいても脈々と息づいてきたことがわかっている。吟遊詩人は、ときに畏怖の対象として、ときに社会の縁に追いやられたりもしながら、現代においても様々なかたちで息づいている。 本展は実行委員長である同館教授の川瀬慈を筆頭に、同館や大学の教授7人がそれぞれの専門分野における調査やフィールドワークの結果を反映。アジア、アフリカ、そして日本の吟遊詩人たちの文化を紹介している。会場となる特別展示室の1階は、前述の8人の人類学による、8つのセクションによって構成されている。
文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)