自分のいる環境が合わないなら逃げていい――齋藤飛鳥が学生生活で見つけた「大切な場所」 #今つらいあなたへ
握手会にいるガッツがあれば「それだけで良くない?」
学校になじめなかった話を公言していた齋藤の元には、過去の自分と同じように置かれた環境になじめずに悩むファンから、握手会や個別のトーク会を通して悩みを届けられることもあった。 「特別なアドバイスができるような人間ではないので、大した話はできませんでしたが」と思わず首をすくめるも、齋藤なりの矜持をもって真摯に向き合った。 「『私たち、今この場にいる時点でガッツがあるよね』って。私は学校には通わなかったけれど、アイドルとして握手会を休まないように心がけていました。はたから見れば簡単なことですが、それは私なりのガッツがあって頑張れたこと。そして握手会に来てくれた人たちは、応募して遠い会場まで来てくれている。それって相当大変なことで、めっちゃガッツがある証拠。『それだけで良くない? それだけで人生、学びがあるよね』って」 大切なこと、頑張りの形は人それぞれ。その人なりの今の生き方を大切にする、それこそが大事だ。齋藤はそう伝えたかったのかもしれない。 限定された空間の中で築かれる環境に慣れず、心を痛める人たちは現在進行形で大勢いる。そうした人たちに向けて何かアドバイスは、という問いに、世の中の一人ひとりに自らの大切な場所は必ずあると語ってくれた。
「もしかしたらもう、その場・その瞬間に立ち会えているかもしれない。自分にとっての居心地の良い場所であれば、決して派手でなくてもきっと助けになると思います。その中で大切なものを見つけるも、見つけないのも自分次第。ただ無理はしない。自分が納得いく時間が過ごせること、それが一番だと思います。もし、今自分が立たされている環境が合わないなら……逃げていいと思います。『逃げる』という言葉だとネガティブに受け取ってしまうかもしれませんが、今いる場所から違う環境に身を移して頑張るという意味での『逃げる』は、人間として正解な行為だと思っています」 自分を大切にし、自分が大切にできる場所が見つかった時、ぜひ育んでほしいものがあるという。 「人生や生活を充実させるにも、人と寄り添うにも離れるにも、そこに愛がないと嘘になっちゃう。あらゆることに向かって愛を意識すれば、自然に些細なことでも幸せを感じられるようになって、さらにその幸せから影響を受けて、また根っこに愛が芽生える。その相乗効果が私は好き。人間の原動力って、愛が根底にあるんですよ」