箱根2区区間新で「怪物になりたい」創価大・吉田響は山上り経験者 権太坂&「戸塚の壁」攻略のアドバンテージに
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)に6年連続8回目の出場となる創価大が17日、オンラインで壮行会と記者会見を行った。初の総合優勝に向けて、鍵を握るのが3年時に東海大から編入したエース・吉田響(4年)だ。希望は3度目の山上り・5区だが、今季は出雲駅伝、全日本大学駅伝と好走が続き、エース区間の2区を担う可能性がある。区間新を更新して「怪物になりたい」と語る大黒柱が、ラストイヤーを力強く駆け抜ける。 勝負のラストイヤーに吉田響の勢いが増している。10月の出雲駅伝は2区で9人抜きの区間賞、11月の全日本大学駅伝でも2区2位の好走。現在も「かなり良い状態に仕上がっている」と自信たっぷりに調整を進める。箱根は5区で22年に東海大の選手として区間2位、今年は区間9位だった。「5区で山の神になる」と3回目の山上りに意欲も見せるが、榎木和貴監督(50)は、各校のエースがしのぎを削る2区の起用も検討している。 「花の2区」を走った場合の覚悟もできている。目標は21年に東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(現ホンダ)が作った区間新記録(1時間5分49秒)の更新だ。吉田響は「塗り替えて怪物になりたい。ただ勝つだけでなく、他の選手に圧倒的な差をつけて自分の強さを証明したい」と爆走を誓った。 夏の取り組みがレベルアップにつながった。8月の月間走行距離は昨年同様1000キロだが、今夏はさらに質を上げた。30キロ練習ではチームが走るロードではなく、あえてクロスカントリーのきついコースを走破。「1年間、練習を妥協せず充実した日々を過ごせた」と心身ともに強さが増した。 2区(23・1キロ)は14キロ手前から続く権太坂、「戸塚の壁」と呼ばれる20キロ過ぎからゴールまでの約3キロの上り坂が攻略ポイント。体力と精神力が試される厳しいコースだが、山上り経験者の吉田響にはアドバンテージだ。山攻略のため、胸郭の動きや前ももを意識して練習しており、「心拍数が上がってきつくなっても気持ちを切らさずに走りきる」と胸を張る。エース区間を制すれば、チームが掲げる先手必勝が現実味を帯びてくる。 今夏のパリ五輪は、夏合宿中の早朝4時20分に駅伝部で部屋に集まり、OBの葛西潤(24)=旭化成=が1万メートルで走る姿をテレビ観戦。「葛西さんのきつい中でも自分の走りを引き出す強さを改めて感じました」と刺激を受けた。将来の目標は「オリンピックで活躍する選手になりたい」と吉田響。箱根の快走は、新しいステージへつながっていく。(手島 莉子) ◆他校の2区候補 国学院大は3年連続で絶対エースの平林清澄(4年)を投入する可能性が高い。例年チームの絶対エースを置く駒大は主将の篠原倖太朗(4年)の登録が有力だ。青学大は前回区間賞の黒田朝日(3年)、前回4位の東洋大は区間6位で勢いをつけた梅崎蓮(4年)の2年連続起用が有力。早大は区間4位だった山口智規(3年)、中央学院大は吉田礼志(4年)の3回目の出走が濃厚だ。 ◆創価大 1972年に創部。89年から長距離部門を強化。箱根駅伝は2015年に初出場し、20位。3度目の出場となった20年に9位で初のシード権を獲得すると、21年は往路を制して10区途中までトップを走るなど過去最高の総合2位。出雲駅伝は24年の4位、全日本大学駅伝も24年の4位が最高。長距離部員は41人、学生スタッフは12人。練習拠点は八王子市。タスキの色は赤と青。 ◆吉田 響(よしだ・ひびき)2002年8月20日、静岡・御殿場市生まれ。22歳。原里中3年時に全国都道府県男子駅伝6区で2位。東海大静岡翔洋高2年時に同駅伝5区で22位。21年に東海大に入学し、1年時に箱根駅伝5区で2位、2年時はメンバー外。23年4月に創価大に編入し、出雲5区区間賞相当、全日本5区区間賞で区間新記録。4年時は出雲2区区間賞、全日本2区2位。自己ベストは5000メートルが13分39秒94、1万メートルが28分12秒01、ハーフマラソンが1時間1分45秒。161センチ、46キロ。
報知新聞社