退職や産休・育休で欠員⇨約8割の組織が「人員補充」なし。業務の「横滑り」…日常的な組織文化の見直しを
欠員を現場レベルで解決⇨「子持ち様」問題に発展
さらに、「欠員発生時の残業時間や精神的状態への影響」を見ると、後任と上司に共通することとして、残業時間が長く、バーンアウト傾向が高いことが分かった。また、後任の退職意向が高くなっていることも判明した。 後任の正社員(2347人)では、欠員がない場合の月間残業時間は16.6時間だったが、「半年以内に欠員あり」の場合は21.0時間と、4.4時間増えた。 上司(1877人)も同様の傾向にあり、欠員ありの場合は24.1時間と、なしに比べて2.0時間増えた。 バーンアウトと退職意向も、欠員ありの場合はなしに比べて増える傾向にあり、後任はそれぞれ0.2ポイント増加、上司はバーンアウトが0.2ポイント、退職意向が0.1ポイントそれぞれ増えた。 ハフポスト日本版のキャンペーン報道「ネットスラング『子持ち様』」でも、子どもの体調不良で子育て社員が早退したり、休んだりした場合、本人だけでなく、その分の業務をフォローする同僚社員も約4割が高ストレスと判定されたことが分かっている。 そもそも育休による欠員の場合、その間は育休取得者の人件費が浮くことから、有識者はハフポストの取材に「人員補充について会社の考えを示し、実行していくことが求められる」と指摘していた。 一方、今回の調査では、「欠員発生の際に業務の割り振りを指示していない上司」は22.4%と、約5人に1人は指示を出していないことも判明した。 欠員により発生した業務の皺寄せを現場レベルで解決させようとすると、「子持ち様」問題に発展してしまうのは、これまでハフポストが報じてきた通りだ。 だが、指示を出していたとしても、最も多かったのは「類似業務の担当者に引き継がせる『横滑り』」(48.3%)で、約半数は同僚に負荷がかかる形が取られていた。 このほか、退職・中長期休の取得の際に業務の引き継ぎを行っている前任者は77.6%にとどまったほか、業務を引き継ぐ後任者の47.1%が引き継ぎ時間に不足感を覚えていることも示された。