亀田興毅氏が和毅のRIZIN参戦に“待った”をかけてボクシングでの世界タイトル再奪取プランを薦めたワケ
それゆえ和毅のノンタイトル戦にも破格のファイトマネーを用意したいという。 「相場で言えば、ノンタイトル戦で100万、200万とかでしょう。和毅クラスなら3桁じゃなく4桁は払ってあげないと夢はない」 4桁と言えば1000万円。ノンタイトルでそれだけのファイトマネーを捻出できるようであれば新しい興行のスタイルは成功だろう。 さて問題は今年の7月で丸2年となるブランクの影響である。 「体力的な衰えはない。むしろ頭も体もリフレッシュできた」 現在も体重は63、64キロをキープ。和毅はネガティブなイメージは持っていない。 この日の公開練習でも軽快なミット打ちを披露した。パンチはコンパクト。メキシコ仕込みのトリプルコンビネーションもスピードとテンポに乗っていた。 実は、世界の流れを見ると一流のボクサーほど1年以上のブランクを進化の時間に変えている。WBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(大橋)がそうだったし、WBA&WBC世界スーパーミドル級王者のサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)もディフェンス技術に磨きをかけていた。 和毅は、試合のない間、トップファイターの動画を見てイメージトレーニングを繰り返してきた。参考にしているのが、PFP1位のカネロと、戦慄のアッパーカットで世界を驚かせたWBA世界スーパーフェザー級スーパー、WBA世界ライト級王者のガーボンタ・デービス(米国)のテクニックだという。 「カネロはスピード、パンチ力だけでなくディフェンスです。あのディフェンスができれば幅が広がる。デービスは勢い。アッパーだけでなく他のパンチも10センチの接近戦から打てる。パワーがないとできない」 和毅がターゲットとするスーパーバンタム級戦線は“激動の階級”と呼ばれる。入れ替わりの激しいクラスだ。和毅が敗れたバルガスは、統一したベルトを防衛することなく返上、現在フェザー級に上げて現在はWBCの指名挑戦者となっている。その空位の王座を決定戦に勝って手にしたのが元WBC世界バンタム級王者、山中慎介との世界戦で体重超過の愚挙を犯した“悪童”のルイス・ネリ(メキシコ)である。ただネリは、国内リングから“永久追放”となっており、和毅との世界戦が実現するとすれば海外リング。 またIBF同級暫定王者の岩佐亮佑(セレス)が、WBA、IBF統一王者であるムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に勝って統一王者となれば、岩佐もターゲットになるだろう。 1月にはWBO世界同級新王者のスティーブン・フルトン(米国)とWBA暫定同級新王者のライース・アリーム(米国)が同時誕生するなどしており、亀田陣営が計画を練る年末に、誰が王者でいるのかの予想もつかない。それだけに和毅も「4団体の誰でも」と言い、興毅氏が「一番(ファイトマネーの)安い王者を探す(笑)。アンテナを張っておきたい」としか語れないのも無理はないだろう。もしかしたらバンタム級の4つのベルトを統一した井上尚弥が階級をスーパーバンタム級に上げて来ているかもしれない。 和毅は「YouTubeでは望有(ノア)のことばかり上げている」とパパの顔をした。そして「望有(ノア)のためにも頑張らないと。モチベーションがガッと上がった」という。ノアの名は、旧約聖書で「方舟」を創ったとされる聖人と同じ。メキシコ人の妻、シルセ夫人(33)が命名したそうである。