「寒い日本で熱い試合したい」井上尚弥、パリ五輪代表らとスパーリングした理由 クリスマスイブに無敗決戦
◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 統一王者・井上尚弥―IBF&WBO同級1位サム・グッドマン(12月24日、東京・有明アリーナ) スーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が4日、横浜市の大橋ジムでIBF&WBO1位サム・グッドマン(オーストラリア)戦に向けた練習を公開した。同ジムの大橋秀行会長(59)は、25年は米国やサウジアラビアで試合を行うプランがあることに改めて言及。尚弥も数試合、日本から離れることを踏まえて「クリスマスイブ決戦をしっかり目に焼きつけてほしい」と、日本のファンへKO決着のプレゼントを約束した。KO勝利なら伝説のヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)と並び、世界戦KO勝利数が史上最多22となる。 ドスンというサンドバッグの“悲鳴”が好調の証しだった。尚弥はシャドーボクシング、サンドバッグ打ち各2ラウンドで軽快かつ力強い動きを見せた。 自身7年ぶりの年間3試合目に向け「コンディションも維持できている。練習の手応えも十分。スタミナ面もかなりの自信を持っている」と尚弥。父の真吾トレーナー(53)によると、3日までに消化したスパーリングは90ラウンド。「試合までに100回近くになる」という。メキシコからパートナー4選手が来日したほか、元全米アマ王者ラミドやパリ五輪代表の原田周大(23)=専大=らと相手のスピードを警戒し、のべ20回ずつの実戦練習で無敗対決へ万全の準備を整える。「接近戦でもいいし、グッドマンの土俵でも戦える準備はしている。この寒い日本で、熱い試合をしたい。皆さんの期待を超える試合を目指す」と決意表明にも熱がこもった。 11月初旬、サウジアラビア最大のエンターテインメントフェスティバル「リヤド・シーズン」と推定総額30億円の大型スポンサー契約を結んだ。「軽量級でこういう契約ができて、夢を与えられた」と大きな反響を実感する尚弥は「初めてボクシングを見るお客さんには、醍醐(だいご)味の一つであるKOシーンを、ボクシングに詳しい方には、細かい駆け引きや技術を見せたい」と世界戦史上最多22KO勝利を約束した。 「25年は新たに海外進出を考えている」と尚弥。大橋会長は「まだ未定だが、米国、サウジアラビアからオファーがあるのと、それが終われば皆が望む国内での大きな試合をやりたいと思う」と名前こそ出さなかったものの、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(26)=M・T=も候補に入れたビッグマッチ構想を明かした。「この試合から少し、日本での試合が空くかもしれない。今回のイブ決戦をしっかりと目に焼き付けてほしい」。尚弥の呼びかけは、勝利の確信以外の何ものでもない。(谷口 隆俊) ◆尚弥に聞く ―試合まで3週間を切った。 「あとはけがと体重と、細かいところを注意しながら調整していきたい」 ―五輪代表の原田とも11月にスパーを行った。 「海外から呼ぶ選手にはない、細かい技術があったので、今回お願いしました。テンポが速く、グッドマンに似ている」 ―グッドマンの印象を改めて。 「改めて言うほどの印象はない。ただ、自分の中で、警戒するべき点と、自分がこうしていかなければならないという点を持ちながら練習している。無敗には意味があると思う。グッドマン自身、勝ちに徹するボクシングがうまいと思う」 ―サウジとの契約から1か月。 「反響はすごくあった。ベルトラインに『リヤド・シーズン』のロゴを入れる。自分としても楽しみな試合になる」 ◆井上の海外試合 2012年10月のプロデビュー以来、計4試合(米国カーソン1試合&ラスベガス2試合、英国グラスゴー1試合)。17年9月のニエベス(米国)戦などいずれもKO勝ち。日本で試合を行わなかったのはコロナ禍だった20年(10月に米ラスベガスで1試合)だけ。事情は異なるが、25年に予定する数試合がいずれも米国やサウジなど海外開催となれば、5年ぶりに日本国内で雄姿が見られなくなる可能性もある。
報知新聞社