8月の倒産件数、「建設・製造業」減少の背景
帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が9日発表した8月の倒産件数は、TDBが前年同月比0・5%増の746件、TSRが同4・9%減の723件だった。TDBは28カ月連続で前年同月を上回ったものの、TSRは29カ月ぶりに減少に転じた。下請け企業が多い運輸業や製造業、建設業でも物価や人件費の上昇分を企業が価格に転嫁できるようになってきたことが影響した。 【グラフ】倒産件数の推移 負債総額はTDBが同6・8%減の927億5900万円、TSRが同6・5%減の1013億7000万円だった。 TDBの業種別は7業種のうち4業種で前年同月を下回った。「建設業」が同17・6%減の122件、「製造業」が同6・5%減の87件となった。 TSRの産業別は10産業のうち5産業で前年同月より減少した。「建設業」が同22・9%減の121件、「製造業」が同11・2%減の79件だった。 ただ、TSRはコストアップ圧力や金融機関の貸出金利の上昇などを背景に「企業倒産は増減を繰り返しながら増勢をたどる」とみる。TDBも「企業倒産がすぐに減少に転じる要素に乏しく、年間の倒産件数は1万件を超える見通し」と分析する。