過去に誰もやったことがない挑戦を選ぶ時、必ずそれを誤解し否定してくる人たちがいる 西野亮廣が「なぜ僕が、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』に命をかけているか」を語る
ここからが本題です。 これは、今現在、挑戦している人にも必ず訪れる(もしくは既に訪れている)未来なのですが、過去に誰もやったことがない挑戦を選んだ時に、挑戦者は勿論のこと、挑戦者の仲間になってくれた人までまとめて叩かれます。 僕もこれは何千回と経験してきたのですが、自分の友達やスタッフが「なんで、西野なんかと一緒に仕事しとんねん!」「お前、どっち派だよ!」と殴られちゃうんです。 集団心理の本当に怖いところで、暴力をふるってくる人間に「あなたは西野に何をされたの?」と質問しても、ビックリするぐらい何も返ってこないのですが、「皆が石を投げている人間は悪いヤツに違いないし、その人間のサポートをしてあるヤツも悪いヤツに違いない!」という心理が働いて、挑戦者の友達まで殴られちゃうんです。 自分が殴られる分には構わないですが、自分の挑戦を応援してくれる人が殴られるのはツラすぎますよね。 でも、挑戦の現場ではこれは必ず起きるんです。 ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の制作に手を挙げてくださったキャスト&スタッフにも少なからずその類いのプレッシャー(周囲の目)はあったハズで、彼らはそんな中、「それでも、面白いことをやろう!」と覚悟を決めてくれたんです。 僕がファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』に命をかける理由はココで…「そうまでして手を挙げてくれた人達を負けさすわけにはいかない」という想いがあります。 「自分を守ってくれた人を全力で守る」という、自分ができる唯一の恩返しです。 これまで「やりがい」を理由に後回しにしてきたキャスト&スタッフの労働環境を一から見直して、キャスト&スタッフの皆さんが何の心配もなくステージに集中できるよう劇場を連日満席にして、彼らを送り出すことに、それなりの使命感を持ってやっています。 密着ドキュメンタリー『BackStory』では今、「作品の届け方」にスポットが当たっていますが、言うまでもなく、内容の方でも同業者がトラウマを覚えるレベルでブッちぎってやるつもりです。 損はさせないので、来年の夏は是非、観にいらしてください。 えんとつ町でお待ちしております。 西野亮廣(キングコング) 西野亮廣/Akihiro Nishino 1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。
TEXT=西野亮廣