「もっと値段を下げさせろ」取引先の理不尽な要求を突っぱねるために若手営業が使った"奥の手"
■毅然とした態度で対応する 電話を切ったあと、私は毅然とした態度でアパレル会社の担当者に言いました。 「これ以上の値引き要求は、納期に影響を及ぼす可能性が出てきます。私たちはすでに決めた価格で進めているので、さすがに無理があります。これ以上の生地価格の値下げ要求はどうかと思います」と説明しました。 担当者は少し言いすぎたと思ったのか、反省の表情を見せ、事なきを得ました。 この経験から学んだのは、「これ以上は対応できない」というラインを定めて確固たる意志で対応することの重要性です。また、説得力を増すためには、交渉相手と自分だけではなく、関係者など外部にも影響が及ぶことを説明することも有効です。 ただし、相手とのそれまでの関係性の中で、ここまでなら大丈夫という読みを瞬時に行い、実行しなければなりませんので、注意が必要です。交渉は正当性を主張すればいいというものでもないので、難しいところです。 信念を貫きながらも、実利を追求しましょう。それが交渉です。 ---------- POINT ・無理難題には確固たる対応で臨むことも必要だが、やりすぎには注意。実利が大事。 ・相手がなかなか受け入れてくれない場合は、関係者など外部への影響も説明。 ---------- ■どうしても納期を短縮しなければならない 価格交渉だけではなく、納期の問題に悩まされるという人も多いでしょう。特に製造から販売までのプロセスの多い仕事では、一つのプロセスでのトラブルが他にも影響を及ぼすため、常に納期に気を配っておかなくてはいけません。 私も商社でアパレル関係の仕事をしていたときは、納期に関わる交渉をすることがよくありました。特に、初めからギリギリの納期が設定されるケースが多いため、少しの遅れが大きな問題を引き起こすこともありました。 私の通常の仕事はこのような流れで行っていました。 まず生地を発注し染色加工を行います。その染色が終わった生地を縫製工場へ投入します。刺繍やプリントがある場合は、縫製の途中でその加工を行います。 このように、多くのプロセスがあるため、どこかで遅れが生じると全体に影響が出てしまうのです。 あるとき、生地の納期が遅れるという問題が発生しました。生地を染める過程で、不良が見つかり、再加工が必要になったのです。 再加工には時間がかかるため、このままでは製品の納期が間に合わなくなります。 そこで、私は素材メーカーとの交渉にあたり、東京事務所ではなく、現場である地方の染工所に直接交渉をしに行ったのです。