米連邦最高裁、数少ないチェック機関になるか-トランプ氏の権限巡り
(ブルームバーグ): ドナルド・トランプ氏の政権1期目の判事指名で変貌を遂げた米連邦最高裁判所は、トランプ氏のホワイトハウス返り咲きに伴い、同氏の権限に対する数少ない潜在的なチェック機関の一つとなりそうだ。
トランプ次期大統領は、全ての輸入品に10-20%の関税を賦課し、不法移民の大規模強制送還を行い、バイデン大統領の環境保護イニシアチブのうち残されたものを取り消すと約束している。だが、トランプ氏は常に自分の思い通りに動いてきたわけではなく、こうした野望を実現するためには裁判所の助けが必要かもしれない。
トランプ氏は過去に貿易や移民、環境に関する政策で最高裁で重要な勝利を収めている。2020年大統領選でバイデン氏に敗れる直前にエイミー・コニー・バレット氏が承認されたことで、最高裁判事9人のうち3人はトランプ氏の任命となった。
それでも、次期大統領と最高裁は複雑な関係にある。20年大統領選での敗北結果を無効にしようと求めたトランプ氏の訴えを退けたケースなど、自分に不利な判断を下した被任命者を同氏が非難したことは一度や二度ではない。
最近では、20年大統領選結果を覆そうとしたとしてトランプ氏が起訴された事件を巡り、同氏が主張した免責特権を部分的に認める判断を同氏任命の多数派が下し、大きな勝利をもたらした。
セントルイスのワシントン大学とペンシルベニア州立大学の教授がまとめたデータベースによれば、トランプ政権1期目の最高裁での勝訴率は近年で最低だった。今回のトランプ氏の選挙公約は1期目の政策をはるかに超えており、激しい法的抵抗に直面することは確実と考えられる。
最終的には、トランプ氏が選挙公約をどれだけ実行に移せるかや、議会選で上院を制した共和党が下院の過半数も維持し、両院を掌握して法案を通しやすくなるかどうかで、さまざまな問題が左右される。
以下は、トランプ政権2期目において、最高裁がどの程度融和的であるかが試される可能性のある分野だ。