米連邦最高裁、数少ないチェック機関になるか-トランプ氏の権限巡り
ジョージタウン大学法学部教授で、米国自由人権協会(ACLU)の全米法務ディレクターを務めたデービッド・コール氏は「憲法を改正することなく、生まれながらの市民権を奪うことは非常に難しいだろう」と述べ、「そのような取り組みを裁判所が無効とする可能性は非常に高い」との見解を示した。
エネルギー・環境
トランプ氏は、電気自動車(EV)販売に対する優遇措置の撤廃、発電所の排出ガス制限規制の廃止、環境・社会・企業統治(ESG)の取り組みを規定するルールの撤廃などを含む包括的な政策を打ち出す公算が大きい。
こうした動きの幾つかは、皮肉な障害にぶつかる可能性がある。規制当局の権限に新たな制限を課したバイデン政権時代の最高裁判決だ。
最高裁は22年、いわゆる「重要問題法理(major questions doctrine)」を適用し、議会の明確な承認なしに政治的・経済的に重大な問題を連邦機関が決定することを禁じた。今年6月には、最高裁は数十年にわたる判例を覆し、不明瞭な連邦法に独自の解釈を加える規制当局の権限を制限した。
テキサス大学で憲法を教えるタラ・リー・グローブ教授は、これらの判決は次期政権に不利に働く可能性があると指摘する。例えば、ある連邦機関が規制緩和に取り組んでいる場合に、同法理が適用されるかどうかについては、裁判所は言及していない。
グローブ教授は「判事は一般的に原則的であろうと努める」とした上で、「何人かはどの政権であれ行き過ぎをチェックする役割を果たすと思うが、誰かについて確かなことを知るのは難しい」と説明した。
原題:Trump-Shaped Supreme Court Emerges as One of Few Checks on Power(抜粋)
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Greg Stohr