資本でも宗教でもない。社会起業家が模索する、もう一つの生き方。
答えがない中、ベターを探し続けるのが人生
── それはまさにSOLITが目指している「自分で自分の生き方を選んでいく」社会ですね。だけど「自分の価値観を信じる」って、どうしたらできるようになるんでしょう。そこで悩んでいる方も、結構いらっしゃるのではと思うのですが。 私が言えるのは私がやってきたことだけなので、属人的な答えになるかもしれないんですけど...... 「私は私らしい人生を歩まなくてはならないんだ」「私は幸福になるべきなんだ」って思っちゃうと、多分逆効果だと思うんですよね。別に幸せでなくてもいいし、完璧でなくてもいい。もっと言うと、自分らしい生き方すら見つからなくてもいいと思うんです。探せば探すほど、見つからなくなるものだと思うから。 ── なるほど。 ただ頑張らなくてもいいから、「布団の中にい続けることだけはやめる」ってことは大事だと思います。何も変わらない、何も生まれないところにはいないほうがいい。例えば普段行かないところへ行くとか、食べたことがないものを食べるとか、なんでもいいので一つでも新しいものを出会っていくと「私、モンブランよりアイスが好きかも」と徐々に自分を知れると思うんですね。 恋愛や仕事でも、一回うまくいかなかったからもう終わりって考えるのではなく、この人・この会社は合わなかっただけだから他のタイプも試してみよう、と考えてみる。失敗してもいいから、ベターを見つけていく。私は自分に合うものを見つける旅に出ているんだ、これが人生なんだと思うくらいがいいのではないかと思います。 100%ハッピーなんてことは生きてるうちに実現するのは難しいし、いつまでたっても完璧などない。「ベターを見つけ続ける」ぐらいでいいんだと、私は思ってますね。
── そのやり方は田中さんの会社経営の仕方でもありますね。悩み続けること自体が、もはやある種のモチベーションというか。 いい意味で「答えを見つける」ことを諦めているのも正直あると思います。世界が複雑に絡み合って明確なものなんて存在しないと痛感しているからこそ、答えはもうないんだって思っている。すべてにおいて、自分の中でのベターをセッティングするだけだと捉えていますね。 あと、「答えが出ないでいてほしい」と思う気持ちも多分あります。答えが出ない状態にロマンを感じるっていうんでしょうか。自分をまるで物語の主人公のように感じつつ、答えを見つけに行こうとする旅路が楽しい。その過程自体が楽しいと感じているんでしょうね。