菅田将暉「年齢を重ねるのはうれしい。早く老けたいと思ってたので」
黒沢 清監督とタッグを組んだ主演映画『Cloud クラウド』(9月27日公開)が「第97回米国アカデミー賞」の「国際長編映画賞」日本代表作品に決定。俳優として、アーティストとして乗りに乗っている菅田将暉さんにお話をうかがいました。その後編です。 PEOPLE NOW
独特の存在感と高い演技力で見る者を魅了する人気俳優であると同時に、自ら作詞・作曲も手掛ける音楽アーティストとしても、稀有な才能を発揮する菅田将暉さん。主演映画『Cloud クラウド』(9月27日公開)では世界的映画監督の黒沢 清さんと初タッグを組みました。インタビュー後編では作品の話に加え、30代を迎えて“年齢を感じた瞬間”や、自身が思うカッコいい大人像について伺いました。
すごく不気味な瞬間がたくさんあるから映画全体が不穏に見える
── 黒沢監督の演出で印象的だったことはありますか? 菅田 感情での演出はそんなにされなくて、動きをつけてくださるんですけど、その動きが“いちいちちょっとヘン”なのが面白かったです。例えば、自分の部屋で恋人の秋子(古川琴音)と2人で喋っていて、吉井が愛の告白にも似たセリフを言う場面で、彼はキッチンに立っている秋子の「真後ろ」に立つんです。 これ、ぜひやってみてほしいんですけど、すごく気持ち悪いんです(笑)。人の真後ろに立って喋りかけることって、たぶん人間、ほとんどないと思います。コンビニのレジで並んでる時ぐらいです。 ── しかも、そんな大切な告白を……。 菅田 普通だったら横に行って、相手の顔を見ながらでも喋れるし、彼女を振り向かしてでも喋れるし、そもそも今言わなくてもいいし。大事なことなんだから。でも、その状態で言うというのが監督の演出なので。 ── 何か狙いがあるわけですよね? 菅田 たぶんあるんです、画(え)の中での動きとして「今、ここに来て言ってほしい」というのが。で、やるとすごく不気味で、そういう瞬間がたくさんあるから、映画全体が不穏に見えるんです。