白内障になって、「行ってはいけない」眼科医の特徴…「良い医者」を見分けないと”悲惨な目”に合う納得の理由
眼科に行くのは内科か外科か
本当に、眼科医は千差万別である。 横浜市で開業する深作秀春氏は「世界的に著名な眼科外科医」だと著書の中で自己紹介している。深作氏も『やってはいけない目の治療』(角川書店、2016年9月)など多数の著作がある。 深作氏は「日本には優秀な『眼科外科医』が極端に少なく、手術技術が高い、できる眼科外科医は10人程度しかない」と自信たっぷりである。 その深作氏が、目薬については、「カタリン」の商品名を挙げて、「白内障予防薬は日本にしか存在しない。日本にしか存在しないのはかなり怪しいものだから」と徹底的にこきおろしている。 さらに「カタリン」などは、もともと肝臓の代謝の薬として考えられたもので、白内障に効くかもしれないという推測しかなく、科学的に効果を証明された薬ではない、と一刀両断している。 ところが、「カタリン」について、平松氏は「今ではその有効性を再検討して実際に効果があることが示され始めている」と書いている。 となれば、平松氏は深作氏に「実際に効果がある」と指摘すべきである。平松氏は当然、「カタリン」を患者に処方しているのだろう。 それに対して、深作氏は「薬の処方のために、定期的に眼科に通ってもらう効果ぐらいしかない。白内障に効かない薬を出して、治療を遅らせることは非常に問題だ」と憤慨している。 つまり、「カタリン」などを処方する眼科医は、白内障治療を遅らせている、と批判しているのだ。 しかし、いったい、なぜ、このようなことが起きるのか? 眼科医には、基本として、メディカル(内科的)とサージカル(外科的)の2つの眼科医が存在することを知っておくべきである。 深作氏はサージカルの眼科医を「眼科外科医」と呼んでいる。 つまり、サージカルは白内障などの外科手術を得意とする眼科医である。 それに対して、メディカルは外科手術をほとんど行わず、コンタクトレンズの処方や点眼など内科的な診療のみを行う眼科医である。 学会が認定する「眼科専門医」制度では、メディカルの眼科医でも専門医を名乗ることはできる。 過去に「目医者、歯医者も医者のうち」などとやゆされたのは、目医者が「目洗い医者」、「目薬医者」などと呼ばれたからである。もともと昔は内科的なメディカルを中心とした眼科医しかいなかった。 もし、白内障の症状を自覚した患者がメディカルの眼科医を受診すれば、効果の薄いとされる「カタリン」などの点眼薬を処方される。 これでは、深作氏が指摘する「白内障に効かない薬を出して、治療を遅らせる」ことになってしまう。 患者の一部は、まだ「医者は全知全能の神様」と思い込んでいる。医者の言われたまま、白内障が治るものと処方された目薬を点眼することになる。 「症状を抑える効果がある」目薬のはずなのに、しまいには、白内障は進行してしまうのだ。 どうにも見えにくい状態となれば、メディカルの眼科医は、公立病院、大学病院などに紹介状(診療情報提供書)を書いて、そこに手術を頼むことになる。 白内障を理解していない患者はそんなものかと思ってしまうだけである。 米国から並行輸入するアセチルカルノシンのCAN-Cを使うのは危険であり、日本の眼科医院で処方される「カタリン」では、一度、濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできない。 効果のない目薬を点眼し続けても、白内障は確実に進行していくのだ。 筆者のように、目のかすみを自覚して、対向車のライトがまぶしくて夜の車の運転が怖いと感じたら、白内障の初期段階だと考えたほうがいい。 そこで、近所に眼科医があったとしても、メディカルの眼科医ではなく、サージカルの眼科医を探したほうがいい。そこから始めれば、ムダな時間を費やすことはない。 目薬で白内障の進行を止めるとか、治療すると言う眼科医を信用すべきではない。いまのところ、目薬で白内障は治らない。
小林 一哉