娘が理系大学志望で大学院にも進学したいそうです。奨学金を借りる予定ですが、娘が「返済できない」と言っています。大学院の授業料後払い制度が創設されたそうですが、どのような内容ですか?
留意点
保証制度は機関保証のみ選択できます。「生活費奨学金」のみの貸与を受けることはできません。 学生は、現行の第一種奨学金と「授業料後払い」のいずれか一方しか利用できません。「授業料後払い」を利用する際には、現行の第一種奨学金と比較してどちらが自分にとって適切か、よく検討して申し込むことが大切です。 「授業料後払い」制度の授業料には上限があります。国立大学では53万5800円、私立大学では77万6000円です。第一種奨学金の場合、修士課程の最大貸与月額は8万8000円(年額105万6000円)ですので、「授業料後払い」制度では支援額が減ってしまいます。 不足分は、「生活費奨学金」でまかなうか、それでも不足する場合は第二種奨学金(月額5・8・10・13・15万円)でまかなうことになります。 授業料後払い制度の利用中は、機構奨学生としての適格性を保たなければなりません。必要な手続きを怠ったり、学業成績が不振等の場合は、支援の「停止(一時中断)」や「廃止(打ち切り)」処分となる場合があります。
「授業料後払い制度」と貸与奨学金の主な違い
文部科学省の資料から引用すると、法的には第一種奨学金ですが、次のような違いがあります。 ●月額ではなく、授業料相当額についてまとまった貸与を受けられること ●卒業後の所得や子どもの数に応じて納付額が定まる。例えば、子どもが2人いれば年収 400万円程度までは所得に応じた納付が始まらない ●原則として機構から大学に直接振り込みが行われること 「授業料後払い制度」は、授業料を支払うためのまとまった資金を用意することが難しい方、所得が低い間や将来子どもが生まれた際に、できるだけ返済月額を低くしたい方に適しているでしょう。 出典 文部科学省 大学院関連参考資料集(令和5年8月22日時点)学士課程修了者の進学率の推移(分野別) 文部科学省 学校基本調査 -令和5年度 結果の概要- (参考)文部科学省 大学院段階の学生支援のための新たな制度に関する検討会議 文部科学省 奨学金事業の充実 授業料後払い制度に関する Q&A 文部科学省 私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果について(令和5年度) 執筆者:新美昌也 ファイナンシャル・プランナー。
ファイナンシャルフィールド編集部