なぜ阪神は広島に今季1勝もできないのか…床田を攻略できず西勇も5失点KOで8敗1分の異常事態
守っても、ここまで防御率1.50を誇った西勇の絶妙のコントロールと配球の駆け引きが、広島戦になると空回りしてしまう。その立ち上がりに「食らいつく」と意識していた先頭の野間にヒットを許し二死二塁から4番のマクブルームに先制タイムリーを浴びる。阪神戦の打率が4割を超える虎キラーである。 まだ1失点で踏ん張れば、広島の床田にプレッシャーをかけることができたが、5回につかまった。 二死二、三塁から、またしても野間に三遊間にタイムリーを浴びた。実はカウント1-1から野間は、三遊間の開き具合をチラっと見た。 「西投手も立ち直ってきて、なかなかチャンスを作れない中で巡ってきたチャンス。床田に1点でも多く」の思いだったという。 その目の動きを阪神バッテリーは見逃していた。三遊間の空間を狙い打ちするには絶好の外角へシュートを投げたのである。 さらに続く宇草の打席で、野間に盗塁を許し再び二、三塁とされ、カウント2-2から梅野はインハイに構えた。宇草はどんなボールでも振りにきていた。しかし、その吊り球は、やや甘く入り、“待ってました”とばかりに宇草はセンター前へ打ち返した、外へ逃げるボール球を選択すべきだった。ここも配球ミスと制球ミスが重なった。中13日空いてしまった調整期間と、ぬかるんだマウンドの影響もあるだろうが、これこそ苦手意識の象徴なのだろう。続く菊池にセンターオーバーのタイムリー二塁打を打たれて0-5とリードを広げられた。 西勇は、今季広島戦に3度先発したが、そのうち2試合は床田とのマッチアップで2敗目。昨季まで12勝5敗と相性の良かった広島を相手に今季は巡り合わせが悪い。 対広島に8敗1分けの異常事態。 その中身を検証してみると負ける理由が明らかである。 対広島のチーム打率が.221で本塁打も大山の一発でようやく4本目。特に得点圏打率は.143しかない。タイムリーが出ないのだ。床田に3戦3敗、防御率1.17、九里の先発時に2戦2敗、防御率2.70と、苦手にする投手が多い。 対広島のチーム防御率3.92は5球団の中でワースト。秋山が2戦2敗するなど、自慢の投手陣も、広島打線には全員が通用していない。 一方の広島から見ると対阪神戦のチーム打率.271で、防御率は1.71。この試合まで防御率は1.56だった。8敗1分けの対戦成績も納得である。 これで広島と順位が入れ替わり4位転落となった。 阪神が今後上位に進出するためには、天敵の撲滅は必須条件である。対広島との残りは6カード(1カードは2連戦)。すべてに勝ち越しても広島に対する借金「8」は消えない。どこかで3タテを含む大型連勝をしておく必要がある。球宴までには残り8試合あるが、7月の2つの3連戦はまた週初めのカードで、同じローテーの組み合わせになる可能性が高い。対広島のローテーをずらすなど、巡り合わせの悪さを変えるためのなんらかの大胆な対策も必要になる。 今日22日の先発は阪神がガンケル、広島が遠藤。このマッチアップは、4月10日以来2度目で、甲子園で行われたその試合で、ガンケルは7回を1失点と好投したが、打線は遠藤に8回途中まで0点に抑えられ、結局、塹江から栗林とつながれて0-1で完封負けを喫した。何かがひとつ裏返れば、オセロのように苦手意識を解消できる可能性がある。そのきっかけとなる1勝を早くつかみたい。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)