なぜ阪神は広島に今季1勝もできないのか…床田を攻略できず西勇も5失点KOで8敗1分の異常事態
阪神が21日、マツダスタジアムで行われた広島戦に3-5で敗れ、対広島8連敗となった。今季はまだ広島に1勝もできていないという異常事態。先発の西勇輝(31)が5回5失点、一方打線は、広島の先発、床田寛樹(27)の前に6回まで無得点と沈黙、7回に絶好調の大山悠輔(27)に18号2ランが出たが、床田に3敗目を喫して相性の悪さを払拭できなかった。広島は連敗を5でストップ。阪神の上位進出には“天敵撲滅”が必須条件なのだが…。
2点差に迫った9回無死一、二塁から強攻策を選択して裏目
どこまで相性が悪いのか。 6月11勝3敗と上昇気流に乗っている阪神が、その勢いのまま、5連敗と絶不調の広島にぶつかったが、対広島1勝を手にすることができなかった。 すべてが裏目に出た。 3点差で迎えた9回。広島のクローザー栗林がピリっとしない。近本、佐藤、大山の3連打で1点を返して、なお無死一、二塁。阪神ベンチは糸原にバントで送らせず強攻策を選択した。フルカウントから栗林のフォークは落ちず失投となったが、打球はセンターの正面を突くことになった。バントで走者を進め1本が出ても同点止まり。ここまでの5試合で打率.412と好調の糸原のバットにかけるというベンチの意図はわかる。だが、カープは、すでに切り札を使い、5連敗中には、中継ぎ投手に四苦八苦してきた。 その広島のブルペンと、湯浅、アルカンタラを残している阪神のブルペンを比較すると明らかに虎が有利。延長戦に持ちこめば、その戦力差で勝利確率は上がるし、フォークをウイニングショットとする栗林に三塁へ走者を進めてプレッシャーをかけることもできた。 ベンチの作戦が裏目に出るのが苦手意識というものなのだろう。 スポーツ各紙の報道によると、「強攻策でしたね?」と問われた矢野監督は「うん」とだけ答えたという。 苦しんでいた栗林を生き返らせることとなり、代打・糸井は、ボールゾーンのフォークを振って三振、代打・ロハスもフォークにタイミングを狂わされてショートゴロ。走者を2人残してのゲームセットである。 雨のマツダスタジアムでヒーローインタビューに担ぎ出されたのは、投打で活躍した床田と野間の2人。野間は「僕じゃない」と渋ったそうだが、「床田から一緒に」と誘われて、仲良くお立ち台に上がった。 「ストライク先行で、なんとか粘り強く投げることができた」 そう振り返った先発の床田の攻略に阪神はまたしてもてこずった。 とにかくストレートに差し込まれる。カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップにパームまで操る多彩な変化球に翻弄され、ストレートで追い込まれて変化球、あるいは変化球で追い込まれてストレートのパターンで凡打を繰り返した。 ここまで2戦2敗。5月10日は完封負けを喫している天敵である。 阪神は、カウントを作られる前の早仕掛けで攻略しようとしたが、その立ち上がりは、わずか7球で三者凡退。1点を追う4回には先頭の島田が出塁したが、中野がセーフティーを試みて失敗。佐藤のセンター前を襲った打球も、上本の決死のダイビングキャッチに阻まれる。7回に6月10本塁打と絶好調の大山が18号2ランをレフトスタンドに叩き込み、ようやく反撃したが、時すでに遅し。 広島は、5連敗中に“魔の8回”を克服することができていなかったが、代打・北條のレフトフェンスギリギリ、入るか、入らないかという打球を、途中から守備固めに入っていたルーキーの中村健人がジャンプ一番つかみとるスーパープレー。相性の悪さとはこういうことなのだろう。