「何を言うか」ではなく「誰が言うか」 中間管理職の悩みを救う、ツッコミの達人・春風亭昇也の「場の主導権を握る会話術」
「ハラスメント!」と指摘する前に
最近はお笑いの世界でも、コンプライアンスを問題視されることが増えています。 その一方で、発言の意図をくみ取る姿勢がもう少し受け手側にあってもいいのでは。「相手の発言にどういう意図があるのか」をくむ想像力もまた必要なものだと僕は思います。
今はあまりにも簡単に「ハラスメントだ!」「コンプライアンス違反だ!」と責めすぎているような気がしますね。 特に最近の若い人は、自分のことしか考えていないなと思うことが多いです。あらゆる場面で相手の都合を想像しながら接すると、見える世界はだいぶ変わるんじゃないでしょうか。 例えば、「怒られたくない」ではなく、「相手を怒らせたくない」と考えれば、「相手を怒らせないために自分がどう動くべきか」という話になる。
たとえ怒られたとしても、相手の立場を想像してみてくださいよ。怒りたくて怒っているわけないじゃないですか。怒る立場からすれば「言いたくないことを言わせているのはお前だからな」「誰のために時間を使ってると思ってんだ?」って話です。 そういう想像力はもうちょっと鍛えてもいいのではと思いますね。
落語は人生のどこかの部分にマッチする
とはいえ、現実はそうも言っていられないですよね。 基本、落語家は各々の仕事を全うする単体の生き物であり、いわば個人事業主。嫌な人と付き合わなくてもやっていけますが、会社で働くビジネスパーソンの皆さんはそうもいかないでしょう。
そんな皆さんにこそ、落語を聴いていただきたい。特に、上司に気を使いつつ、下からはハラスメントだなんだと言われてしまうような、中間管理職の皆さんにおすすめです。 単純に面白いだけでなく、落語は人生のどこかの部分にマッチするんですよ。 だから年齢を重ねるほど共感するところが増えて、落語は面白くなっていく。「かみさんとそういう会話するわ~!」とかね。 あとは、「シャレ」という感覚が分かると思います。真面目に仕事のことをやるだけじゃダメ。受け流せるものは受け流していきましょう。 僕が皆さんにおすすめしたい『百年目』という落語は、それこそ中間管理職の話です。