「何を言うか」ではなく「誰が言うか」 中間管理職の悩みを救う、ツッコミの達人・春風亭昇也の「場の主導権を握る会話術」
他にも、うちの師匠の先輩に当たる桂竹丸師匠が、「そういえばお前、昔謹慎になったよな」と、うちの師匠の前で僕をイジったとき、「よせよ、兄弟」と返したらドカーンと盛り上がった。 自分の師匠の先輩に対して「よせよ、兄弟」なんて、本来であればめちゃくちゃ失礼です。でも、芸人の世界の全ての判断基準は面白いかどうか。ウケれば許されるわけです。うちの師匠もゲラゲラ笑っていましたよ。 結局のところ、「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」。僕がキツいことを先輩に対して言えるのは、その「誰」になれているからです。 多くの人は言い方や内容に気を取られていますけど、大事なのはその手前ということですね。
怖い上司や先輩に取り入るコツ
「これを言ったら怒られそうだな」「この人はシャレが通じなさそうだな」といった見極め方は感覚的なものですが、怖そうな人に最初に取り入るのもテクニックの一つです。 そのコツは、まず相手を褒めちぎること。 「兄さん、うまいね」「あれはすごかった」と相手へのリスペクトを明確にしながら褒めまくると、相手は気持ち良くなる。そこでグッと懐に入るわけです。そうやって術中にはめて転がしている先輩が僕には何人もいます(笑)。
その結果、今の僕は相当な先輩にもため口だし、先輩にダメ出しだってします。そもそも僕は人に気を使うのが嫌いだから、それなら先輩を友達にしちゃったほうがいいと思ったんですよ。 それにね、意外と先輩ってダメ出しをすると喜ぶんです。後輩から指摘されることがないから、珍しいんでしょうね。 「あのキャラクターはああいう発言をしないと思う」「あの言い回しはおかしい」など、違和感を覚えたところを的確に伝えることで、より信頼関係は強まるように感じています。
要するにコミュニケーションとは「相手との信頼関係をどうやって築くのか」であり、僕の場合は「褒め殺し」がその手法。相手への愛がなきゃダメってことです。 だから、好きになれない人と無理に付き合うことはしません。 先輩にツッコミを入れるのは、僕が楽しくやりたいから。それに対して生意気と言われてしまうのであれば、じゃあいいですっていうね。シャレが通用しない人とはどうせ合わないから、それでいいんです。