「郵便局2万軒修理」にAI導入、日本郵政建築xスタートアップの意外な初動
個別事象への対応が課題
エーアイスクエア 堀:今後は、個別事象への対応が課題として残ると思いますが、その解決法の一つとして、現在の生成AIの使い方の一つであるRAG(ラグ:Retrieval-Augmented Generation)があると思います。 RAGとは、回答の幅を限定するようにして、より求めている答えに近づける方法です。たとえば、「空調を直すには?」と質問を入れたとき、質問者の立場によって回答は異なります。質問者が施設関係者であれば、連絡先を答える必要があるでしょうし、質問者が工事・修繕関係者であれば、具体的な直し方を答える必要があります。 個別事象に対応できるよう入力者の情報や状況を合わせて入力するようにガイダンスしながら入力するようなサポートによって、取組みに拡がりが出てくると思います。 他には、通販の受注のようなコンタクトセンターではなく、修理修繕、お悩みサポートといったような、比較的、一回の応答時間が長いタイプの部門にはどんどん提案していきたいと考えています。 応答時間が長いということは、コストも多くかかっているわけで、ソリューションの導入企業から見た際にコスト効果も大きいわけです。結果として、喫緊の課題である人手不足、オペレーターの人不足にも対応できます。 日本郵政建築 土田:収集したデータを物理的なデータ、例えば建物や構造物の仕様の情報と修繕の情報を紐づけることができれば、台風シーズンが来る前に予防的措置が取るようなことも可能だと思います。 さらに知見を一般化していくことができれば、日本郵政グループ以外の建物にも適用できるでしょう。たとえば、自治体の建物などには適用できる可能性が大きいと思います。 日本郵政建築 馬場:予防的処置という見地では「壊れてから直す」と「壊れる直前に直しておく」では、コスト面で大きな違いがあります。故障や不具合の履歴と照らし合わせて壊れる直前にタイミングよく修繕を行うことができれば、計画的な予算組みが可能になることに加え、重要な設備が壊れることによる休業等の事業機会のロスも防ぐことができます。今回の取り組みを起点にコストも含めた業務面の最適化と顧客満足度の向上につなげていきたいと考えています。 ※本稿は 「jp-capital」の記事を再編集したものである。
曽根康司