死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文1)さかのぼりで「3密」わかった
この時点で評価することが専門家の責任
尾身:尾身です。よろしくお願いいたします。それではスライドをお願いします。「はじめに」ということで、もう今、脇田先生のほうからしたので少し簡単にしますけど、まず1、本当に今回、市民の皆さんが本当にご協力して、心より感謝ということと、それから次は、長丁場が予想されるということは前から申し上げて。それで3番目が一番大事だと思いますけれど、感染状況が落ち着いている今こそ、今後の新たな感染拡大に備えて検査体制、クラスター対策、医療提供体制の強化、治療法・治療薬等々の確定に全力で取り組むべきと、政府にぜひお願いをしたいと思います。 今日の一番のテーマは、これまでの取り組みや対策、あるいは緊急事態宣言の効果について、一応、今、落ち着いたので、この時点での評価をすることがわれわれ専門家の責任だと思いまして、今日はこれを、この時点での評価、これはもちろんまたあとで再評価するということはありますけども、この時点で評価するのが私どもの務めだという思いで、今回はこれを中心にお話をさせていただきます。次のスライドをお願いします。 まず1番目ですけど、日本の対策は、欧米の先進諸国と比較して感染者数の増加が抑制され、死亡者数や重症者数が低いという観点であったということですけど、欧米の、これはなぜこうなったかということを次ページからやりますけど、その前に、なお、韓国をはじめ東アジアの死亡者数は総じて少ない。中でも台湾は非常に低位ということで、台湾で死亡者数が低位であるという主な理由、これは詳細ですけど、大事なポイントだけを書きましたが、SARSの経験を基に、ここですね、以前から日本に比べて準備、いわゆるPreparednessが日本に比べてよくできていたということは、これはあったと思います。
死亡者数や重症者数が低位に収められた理由
それから台湾においては、欧米等からの移入の規模が、国のサイズが違いますので日本よりも小さいということ、それからより早く水際対策による対応を講じていたという、こういうことが台湾では確かにあったと思います。 さて、このグラフ、下のほうですけど、これを、日本の報告者ベースのあれですけども、今、これから起こるのが第2波か第3波かとかっていうのはいろいろありますけども、われわれは、専門家としてのこれからの議論は一応こういうことにしたいと思います。この第1波というのは中国の武漢、湖北省からの来たもの、これを第1波。それからこの辺ですね、だんだんと欧米、ヨーロッパやアメリカから来たのを第2波というように一応、定義をします。これはいろんな定義がありますけど、これは決めの世界ですから、中国からの第1波、この辺ですね、ずっと。それからだんだんと上がってくる、これが第2波ということで、一応こういうことで、これから起こるのはじゃあ第何波っていうことで、これからの第3波ってなるんでしょうかね。そういうことで。そういうようなことで一応、ここにはいろんなことの代表的な時系列でいつやったかということを書いてあります。 さて、次のスライドを見てみます。次のスライドは、これは欧米諸国と比較して日本の死亡者数や重症者数が低位に収められた理由というのは、これはいろんなことがあって、今これは完全にサイエンスとして研究してるわけではありませんけど、現時点でのわれわれの判断は一応こういうことだと思います。まず1番目に国民皆保険ということで、日本の医療へのフリーアクセスというものがあるし、しかも地方においてもフリーアクセスというか、医療の質が比較的レベルが高いということは、まず私たちは、間違いなくこれは1つの重要な要素だと思います。 それから、これは今、医療のほうですけど、もう少し公衆衛生というかパブリックヘルスという観点でも、実は日本は全国に整備された保健所というものが従来から重要な地域医療の、地域の公衆衛生の役割で、このレベルも高かったということ、こういうシステムがあったということは、これもある程度、間違いないんじゃないかと、今のところわれわれは判断してます。