不妊治療に非協力的な夫が許せない30代女性「時間が限られているのに…別れたほうがよいでしょうか」【看護師・僧侶の玉置妙憂さんがアドバイス】
【玉置さんの回答】あなたの心の奥底に横たわる想いは何でしょう
大変なご状況ですね。そういうことであれば、すぐにでも今のご主人と別れて、子どもを心から望んで、協力してくれる次の方と一緒になったほうがいいでしょう。 次の方は、仕事よりも、妊活を優先してくれる方を選びましょう。もしかしたら、そのために仕事を辞めてくれるかもしれませんよ。そうなれば、思う存分、妊活に時間を割くことができますから、安心です。あなたも、仕事より妊活を優先しているのですから、きっとお二人の息もぴったり合うでしょう。 念のための確認ですが、妊活のために仕事を辞めて、朝からごろりと横になって携帯ばかり見ている旦那さんに「子ども生まれるのにどうするの!ちゃんと働いてよ!」「子どもを育てるにはお金がかかるんだから。安定したいいところに就職してよ!」なんて、言いませんよね。だって、あなたの希望で、仕事よりも妊活を優先してくれる方を選んだのですから。 ところで、そもそもの話なのですが「どうしても子どもが欲しい」、その理由はなんですか。強い切迫感を感じてらっしゃるのは、伝わってきます。その切迫感は、どこからきているのでしょう。あなたの心の奥底に横たわっている想いは、いったいなんなのでしょうね。「どうしても子どもが欲しい」「どうしても子どもを産まなければ」は、ぷかりと浮き上がってきた泡のひとつにすぎません。その下に何があるのか、とても気になります。 それからね、たしかに子どもは可愛いですよ。それは本当にそうです。でも、そればっかりではないのです。ひとたび生まれてしまえば、その子に対する責任は一生涯続きます。「自分の時間」なんて、優雅なことは言っていられません。 自分のことは、すべて後回し。食べるものだって、観るものだって、行くところだって、すべてが子ども中心になります。しかも、そこまでして育てた子どもに「親ガチャに外れた」なんて言われることさえあります。そのあたりもきちんと、了承済みでしょうか。 なんかね、あなたのご相談をお聞きしていると「私が…私が…」って、ぜんぶご自分中心だからちょっと心配になってしまってね。そのくせ、妊活にしても、夫との仲が元に戻るかどうかにしても、そのへんは他人まかせなんですよね。 「夫が協力してくれない」じゃなくて、「協力してもらえるように死力を尽くす」んですよ。「元の仲にもどれるのでしょうか」じゃなくて、「もどれるように必死で努力する」んですよ。それが自分で自分の人生を切り開く、自分中心の生き方でしょう? だいぶ厳しいこと言いましたね。ごめんなさい。もうさんざん必死で努力してこられたあとなのかもしれないのにね。とにかく、もう一度、意識の矢印をぜんぶご自分の内側に向けて、己の心の奥底をじっくり見回してみてください。そこにきっと答えがあるはずです。困ったらまた、いつでも声かけてくださいね。 ◆玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)/看護師。僧侶。二児の母。専修大学法学部卒業後、法律事務所で働く。長男が重度のアレルギーがあることがわかり、「息子専属の看護師になろう」と決意し、看護学校で学ぶ。看護師、看護教員の免許を取得。夫のがんが再発。夫は、「がんを積極的に治療しない」方針をかため、自宅での介護生活をスタートする。延命治療を望まなかったため、自宅で夫を看取るが、この際にどうしても、科学だけでは解決できない問題があることに気づく。夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山にて修行をつみ高野山真言宗僧侶となる。その後、現役の看護師としてクリニックに勤めるかたわら、患者本人、家族、医療と介護に携わる方々の橋渡しとして、人の心を穏やかにするべく、スピリチュアルケアの活動を続ける。訪問スピリチュアルケアを通して、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とQOD(クオリティ・オブ・デス)の向上に努める。非営利一般社団法人「大慈学苑」をつくり、代表を務める。課題解決型マッチングメディア「リコ活」でコラムを執筆。 (まいどなニュース/リコ活)
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