アパ、マリオット、カンデオ…日本の“ビジネスホテル戦争”が激化
大きな転機となったのは2005年。巨大外資を蹴落とし、「西武鉄道」から「幕張プリンスホテル」を買収することに成功したが、2007年、業界を揺るがした耐震強度偽装問題に巻き込まれる。 その直後、今度はリーマン・ショックが起き世界中が不況に陥るが、アパは独自路線を貫き、2万室のホテルを4万室に拡大。東京・赤坂の土地取引を巡っては、地面師集団に約12億円騙し取られたことも。 また、未曾有のパンデミックにおいては、安倍晋三総理(当時)からの要請を受け、コロナに罹った軽症者のための療養施設として新しくつくったホテルを提供。コロナ禍でも、攻めの姿勢を貫いた。 「今はチャンス。転売したり廃業したりするホテルがあるから、シェアアップできる。みんなが伸びている時にシェアは伸びない。悪くなった時に強いところがシェアをとれる」。
嵐の時こそアクセルを踏み込み、突き進んできたアパグループ。コロナ禍も黒字で乗り切り、業界トップの座に君臨した元谷会長だが、2022年、経営を長男・一志さんに譲ることに。 2代目は、日本最大のホテルチェーンをどう導くというのか。 「弱者の戦略じゃなくて、強者の戦略も選択肢の中に入ってくる。M&Aや異業種買収も含めてあり得る」。一志さん率いる新体制へと移行し、アパは大きな勝負に出ていた。
8月、大阪市浪速区。アパは大阪府に集中してホテルを投入する「大阪ドミナント戦略」を展開。すでに29軒が営業している中、さらに40階建ての大型タワーホテル「アパホテル&リゾート大阪難波駅タワー」(客室数2055室)を建設する。 「このホテルは会長との合作。会長が途中まで設計したものを私が直した」(一志さん)。
眺めのいい最上階には、選りすぐりの魚料理をビュッフェスタイルで出す「スカイダイニング UOMAN」が入り、運営会社社長は「日本の得意とする海鮮をプレミアムに。朝も夜も景色と一緒に楽しんでいただく」と期待を寄せる。