アパ、マリオット、カンデオ…日本の“ビジネスホテル戦争”が激化
「マリオット・インターナショナル」日本・グアム担当のカール・ハドソンさんは、「全てのゲストに可能な限り最高のサービスを提供できるように集中してほしい。難しい注文だが、私たちが必ずやらなければならないこと」と話す。 そんなマリオットグループが大阪で新しく手掛けるビジネスホテルが「フォーポイント フレックス by シェラトン」。だが元々このホテルは、経営破綻した「ユニゾホールディングス」のものだった。ユニゾはビルの賃貸やホテル事業を行っていたが、負債総額は1262億円に。多額の借金を抱えていたところをコロナが直撃し、資金繰りが悪化したのだ。全国に14あったホテルは、KKRに売却された。
ホテルのリニューアルオープンの日、生まれ変わったロビーにスタッフが集まっていた。「重要なのは、とびきりの笑顔で全てのゲストを歓迎すること。私は大成功を収めると確信している」(カールさん)。 宿泊費は、従来のマリオット系列よりも安い1万2700円からで、ビジネスホテル価格だが、世界王者・マリオットが見据える日本戦略とは?
迎え撃つ日本のホテル王「アパ」
一方、日本最大の客室数のホテルチェーン「アパグループ」。アパは現在、業界No.1となる856のホテル、11万9000室以上(12月2日現在)を展開し、その稼働率が軒並み100%超えている。年間の売り上げは過去最高の2200億円に達し、経常利益は700億円(2024年11月期 連結決算 見込み)。平均利益率が10%以下といわれる業界で、驚異の30%超えを果たしている。
一代でアパ帝国を築き上げた元谷外志雄会長(81)、妻で広告塔の元谷芙美子社長(77)、長男でトップを引き継いだ元谷一志CEO(53)、次男で異業種コラボを手掛ける元谷拓専務(49)と、アパは元谷一族で経営される非上場企業だが、ここまでの道のりは決して平たんなものではなかった。 1971年、石川県で不動産会社を興した元谷さん。その年に生まれたのが一志さんだった。1984年、金沢にホテル1号店をオープンし、元谷会長はバブル崩壊後の安くなった土地を買い集め、全国展開していく。