次期トランプ政権に落胆する人たちに伝えたい「すべては私たち次第」の希望と未来
今こそ持ちたい「インナーコンパス」
私はトランプ再当選の報道があった後、ヒラリー・クリントンが2017年に母校ウェルズリー大学で、卒業生たちに祝辞を贈った動画を再度見直しました。 このスピーチについて、私は著書『REAPPRAISAL(リアプレイザル)最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法』でこう紹介しています。 ご存知のように、彼女は2016年の米国の大統領選で、女性として初めて主要政党の大統領候補となりました。結果は、総合得票数に関しては圧勝したにもかかわらず、多数決ではなく選挙人制度で決まるアメリカの大統領選には敗北を喫し 、アメリカはトランプ政権が樹立しました。 これは、その後、ヒラリー氏が母校の名門女子大学で学生たちに贈った卒業スピーチでの言葉です。 “Do the right thing in anyway.(今まで通り、正しいと思うことをするのみ)” どんなに自分が悔しい思いをしても、諦めたくなるような場面でも、アンフェアに扱われていたとしても、不利な状況にいても、誰かの期待を裏切ることになっても、自分を信じて、自分が正しいと思うことをやりなさい、と語りました。 英語には「インナーコンパス」という言葉があって、これは直訳すると「自分の中の方向性を示すもの」ですが、「人生の岐路では無限の選択肢を迫られますが、そのときに自分の心の中にコンパスを持っているがごとく働く方向感覚のこと」を言います。ヒラリー氏が語った「自分の大切にしている価値観や方向性ということに嘘をつかずにやるべきことをやる」というメッセージに込められた想いというのは、まさに、自分で自分の人生の舵をとる=インナーコンパスを持ちなさいということでした。 『REAPPRAISAL(リアプレイザル)最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法』(実業之日本社)より抜粋 これからアメリカは激動の時代に突入することとなり、その影響は日本にもあるかもしれません。その中で、「まさかこんなことが起きるなんて」と怒ったり、「なんでこうなるんだろう」と落胆することもあるでしょう。そんなときは一回深呼吸をして、その事実を受け入れる。ですが、事実を受け入れた上で、そこから何をするかは「私たち次第であること」を忘れてはならないと思っています。
内田 舞(医師・小児精神科医)