佐賀駅前の歩道に50mのテーブル出現、140人でワイワイ乾杯!? 新しい道路の活用法「ほこみち」がおもしろい 最新事例「さが維新テラス」
約140人がロングテーブルを囲んで乾杯!
トークセッションの終了後の18時、先ほどまでステージで話していた山口知事をはじめ、ゲストとして訪れた坂井英隆佐賀市長や周りで話を聞いていた人たちも一緒になって、佐賀の地酒やサイダーを手に、白いロングテーブルの周りに集まりました。「乾杯!」の声でドリンクと机上に用意されたオードブルを楽しむ、約140人もの人。ドリンクを片手に気さくにいろいろな人に声をかけて回る、山口知事の姿も見られます。
歩道を通行する人たちは「一体何が起こっているんだろう?」という顔で覗き込み、参加していた人の中には「当日参加もオッケーと聞いて参加した」という、駅前のオフィスに勤める人たちも。これまでにどんな都市でも見たことのない、貴重で楽しげな風景を目にすることができました。 まちの人の目を引いた白いロングテーブルを歩道に設置したこのイベントは、2年前から佐賀商工会議所青年部の人たちが「広くなった歩道でこんなことができたらいいな」と絵を描いていたものが実現したのだそう。またワークショップやマルシェの出店は、佐賀の大学生中心とするZ世代の若者たちが活動する「サガつく!」という団体が企画・運営を担うことで実現しました。
歩道の幅を4.5mから11.5mに。「歩いて楽しいまち」を日常の風景にしたい!
このイベントが行われた道路は、佐賀駅から佐賀県庁を結ぶ県道29号の佐賀停車場線(都市計画道路佐賀駅下古賀線)で通称「中央大通り」。まさに佐賀市街の背骨と言える道です。このうち駅南側の約200mを広場のような歩道空間として整備したのが「さが維新テラス」です。日常的に「使える道」「歩いて楽しい道」とするために、4車線あった道路を2車線に減らし、その分、歩道の幅を4.5mから11.5mに広げる工事を2023年3月頃から行ってきました。歩道内にはトークイベントのステージともなった奥行きのあるベンチや、通り沿いの飲食店がテラスなどを設置できる軒先スペースを設けています。
歩道の整備を担当した佐賀県 県土整備部 まちづくり課 課長の天本貴子さん、諸石幸輝さん、河原誠さん(2024年4月に県土整備部 まちづくり課から佐賀県東部土木事務所に異動)と、歩道をデザインしたワークヴィジョンズの西村浩さんにお話を聞いたところ、佐賀県の天本さんは「イベントは一時的なものでしかないが、人の集う風景を佐賀の日常にしたい」という想いを語ります。 筆者はイベント以外の日にも同じ場所を訪れてみましたが、日が落ちてやや過ごしやすい気温になった夕方ごろから、高校生のグループやカップル、仕事帰りと思われる人たちが思い思いに過ごしています。夕暮れのなか、落ち着いた照明がまたいい雰囲気を醸すその風景は、佐賀出身の筆者にとっても、たしかに過去には見られなかったもの。天本さんたちがイメージしてきた景色が、既に形になりつつあります。