地球外生命を探して -太陽系の“三大名所“をめぐる 2.エンケラドゥス
こう見ていただくと、このエンケラドゥスの北半球、基本的には真っ白ですよね。この白いのは何かっていうと、水の氷です。ほとんど水の氷。で、太陽から遠いので温度がすごく寒くって、表面はマイナス200度です。もう水なんか一瞬で凍ってしまうというレベルのすごい寒い天体です。よく見るとこのエンケラドゥスの北にはたくさん穴が空いていますよね。 谷:クレーターみたいなのが見えますね。 関根:そうですね。地球の月に見えるようなクレーターで、これは隕石のような天体がぶつかってきたときに地表に穴が空きます。で、その穴が残っているということです。で、もう1つ、南の半球を見るとこのクレーターはほとんどなくて、しまのような筋が見えますね。谷みたいな青白いしま模様が見えます。クレーターがないっていうのはすごく重要で、何を意味しているかっていうと、クレーターができてもその上から何か違う物質が流れてきて、クレーターを覆ってしまう、あるいは地面が流動してクレーターを消してしまうことで昔のクレーター記録が残ってない。つまり、南半球はすごく活動的に地表面が新しくなる現象が起きてるということを示しています。 谷:何かが起きていると。では次のスライドで何が起きているのかを見てみます。
関根:はい。実際にその割れ目のところに探査機が向かいました。で、この探査機の名前はカッシーニ・ホイヘンスという探査機で、2004年に土星の周りに着いて、それから、今でも頑張って探査を続けています。2017年まで探査は続く予定ですけど、このカッシーニ・ホイヘンスが発見した1個の重大な発見が、さっき見た南極の割れ目から、何か液体の水が宇宙に向かって噴出している。噴水を見つけたってことです。もう、どわーっとこう、ぶしゃーっという感じで吹き出していて、で、だいたい1秒間の間に200キログラムぐらいの海水を宇宙に向かって吹き出しています。
いきおい余って今、海水って言いましたけど、エンケラドゥスの中はこの図のようになっていると考えられています。で、氷があるのは地表だけです。中には氷が溶けた液体の水が存在しています。で、その海の底には岩石の地面が存在していて、岩石と海水とが化学反応するような場が存在していると考えられる。 なかなかこうやって氷で閉じた海って想像しにくいかもしれませんが、実はそんなに難しい話じゃなくて、実は北極なんかを見ると、北極の氷の下、すぐ1メートル、2メートル下には液体の水が存在しています。だから北極の、流氷でもいいですけど、そういう氷が敷き詰められて、その下に液体が存在していると。そういうようなことを想像していただければいいと思います。 谷:寒い星なんですけれども、氷の下には海があると。では、その海の中にはどんなものがありそうなんでしょうか。どこまでわかっているんでしょうかね。