「 リセール すれば儲けになる」「後で買うなら実質無料」。リセール 企業が提案する、新たな価格重視の動き
ファストファッション vs リセール:ヴェスティエール・コレクティブの「swap this for that(あれとこれを交換)」キャンペーン
4月22日のアースデイ(Earth Day)に合わせてラグジュアリーリセール企業のヴェスティエール・コレクティブは、循環性に対する自社の取り組みと過剰消費という世間で広く取り上げられている問題に注目した年次報告書「サーキュラリティ・レポート(Circularity Report)」を発表した。2024年度の報告書では着用単価というコンセプトに焦点を当て、自社のリサーチ結果を駆使しながら、「ファストファッションはリセール品よりも価格が手ごろだ」という一般常識を論破しようとしている。 同社は環境の影響に特化したソフトウェア企業のバーユ(Vaayu)と協働し、5つの市場で1万3000人以上の買い物客を対象に購買行動に関する調査を実施した。調査の結果、消費者はファストファッションの購入品よりもリセール品をはるかに高い頻度で着用していることがわかった。これはつまり、リセール品の方が着用単価が低いことを意味する。たとえばリセールで購入したドレスはファストファッションの小売店で購入したドレスの約8倍は着用されており、着用単価に換算するとリセールは平均1.72ドル(約260円)、ファストファッションは4.82ドル(約720円)にあたるという。 この報告書を受けて、ヴェスティエール・コレクティブはコスト面に焦点をあてたマーケティングキャンペーンを展開し、消費者に「あの」ファストファッション商品を、似たようなスタイルの「この」リセール品に「交換」するよう提案した。 さらに2023年11月に同社は、自社P2Pショッピングプラットフォーム上でH&MやZARA(ザラ)をはじめとする30のファストファッションブランド商品の販売を禁止した。 ヴェスティエール・コレクティブのチーフインパクトオフィサーを務めるドゥーニア・ヴォン氏は、「幼い頃に父が『あまりにも貧乏だから安くて質の悪い服さえ買えやしない』とよく話していた」と語った。「ファストファッションにまつわる議論は常に、より多くのものを手に入れることにあり、安ければ安いほど人々はお金を使う可能性が高くなるというものだ。しかし我々の調査が明らかにしたように、中古品のほうが投資先として優れている」。 また同氏は「ソーシャルメディアには『ガールマス』について取り上げ、それは真実だと話している人たちがいるが、それを信じるには証明が必要だった。我々は現在ZARAを購入している人が明日にでもエルメスのバッグを買うと言っているのではない。ファストファッションにかけるお金が増える代わりに、中古市場で代案品を見つけることができると言っているのだ」と付け加えた。