体温で柔らかくなり体に合わせて伸縮する新感覚の素材「HUMOFIT®」
伸縮性のある素材といえば、ポリウレタン繊維やPTT繊維を思い浮かべるだろう。そこに新たに体温が鍵となって伸縮する素材が登場した。それが三井化学株式会社が開発した「HUMOFIT®(ヒューモフィット®)」だ。 体温を感知すると素材が柔らかくなり、伸ばすと伸長し、手を離すと形状記憶性によってゆっくりと元通りになるという。はたして、そのような機能が実生活でどのように役立つのだろうか。 今回、三井化学ファイン株式会社 機能性素材事業部門 機能性フィルム事業開発室の室長である西川さんにお話を伺い、新素材である「HUMOFIT®」の魅力を語っていただいた。
誰も体験したことのない素材
ー最初に事業内容を教えてください。 三井化学ファイン株式会社は、三井化学株式会社という総合化学メーカーの100%子会社になります。 弊社は、1974年に三井化学グループの化学品専門商社として設立され、今では商社機能以外にメーカー機能も有し、弊社独自の製品も製造・販売しています。 主にヘアカラー原料や医農薬原料など化学薬品を手掛けていますが、樹脂加工品事業を創出する部門を新たに設立し、三井化学株式会社が開発した新素材プラスチックシートの「HUMOFIT®」を今年の4月から弊社に移管して、本格的な事業展開に取り組んでいます。 ー「HUMOFIT®」の開発背景を教えてください。 原料となる樹脂は、他の樹脂と組み合わせて機能を引き上げる添加剤として使われていたものでした。その樹脂の営業マンが、純粋な好奇心から「シート状にしてみたら面白いのではないか」と思い、発泡シートを作る関連会社さんにお願いして、試作品を作ってみたのがきっかけです。 プラスチックとは思えない触感で、初めて触ったときは衝撃の一言でした。これまでさまざまなプラスチック製品を開発してきましたが、このような経験はありません。当時、これが何の役に立つのかは想像もできなかったのですが、それでも新しい分野を切り開けるのではないかという期待しかありませんでした。