“本当のワサビ”を世界へ 静岡の企業が切り開く海外市場
「行動の積み重ね」でパートナーを選ぶ
単価が高くなりがちな日本製の食品や工業製品は、多くの海外バイヤーたちの関心を集める。だが、そのなかから信頼できるパートナーを探すのは至難の業だ。 ジェトロが開催する海外展示会に出展した亀谷の周りにも、多くの関係者が商談を持ち掛けてきた。最初に選んだ海外進出のパートナーは、「あなたの製品をホールフーズに置いてあげますよ」と亀谷に持ち掛けた。日系アメリカ人男性で、大手量販店や政府関連機関との人脈もあると言った。日系人という安心感もあり、契約を結んだ。 だが、いざ取引が始まっても、収益が振り込まれない。会計関連書類を見ると、「販促費」や「手数料」などと称して事前に説明のなかった分野にまで経費が計上されていた。問い合わせても真摯な回答は得られず、100万円以上の赤字を抱えたまま契約を打ち切ることに。 「甘かったのだと思います。経験がなかったのは言うまでもないですし、見かけや口ぶりなど上辺だけで判断してしまいました」と振り返る。 社長職を継いでから、はじめての「大失敗」。手痛い経験に勢いをそがれたが「本物のワサビを世界に届ける」夢は諦めなかった。 展示会や商談会への出展を続けていたところ、「良い商品ですね。どんなふうに作っているのか、見てみたいです」と声がかかった。アジアンスパイスを北米に輸出する事業を手掛ける女性経営者だった。
Kozumo Nagahashi