指定難病「ALS」の進行抑制を確認、iPS細胞が切り拓く“新たな治療”の可能性 京都大学
京都大学iPS細胞研究所らの研究グループは、「iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用して発見したALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬の候補を患者に投与する第2段階の臨床試験で、半数以上の患者で進行の抑制が確認された」と発表しました。 この内容について中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: 京都大学iPS細胞研究所らの研究グループが発表した内容について教えてください。 中路先生: これまでに京都大学iPS細胞研究所らの研究グループは、ALS患者のiPS細胞で病態再現と薬剤スクリーニングを実施し、「ボスチニブ」という慢性骨髄性白血病の治療薬に強い抗ALS病態作用があることを見出していました。 第1相試験は2019~2021年に実施されており、ALS特有の有害事象が認められなかったことや、投与期間に一部の患者さんでALSの進行の抑制が認められたこと、その目印となる可能性のある指標があったことが明らかになったことで今回の第2相試験が実施されました。 今回の臨床試験は、26名のALS患者を対象に実施され、ボスチニブを200mg/日もしくは300mg/日を投与しました。 その結果、ALSの承認薬であるエダラボンの臨床試験のプラセボ群に基づく基準と比べて、運動機能障害の強さを示すALSFRS-Rのスコアの低下が抑制されていることがわかりました。 また、ボスチニブを24週間にわたって投与したところ、試験に参加した26人のうち、少なくとも13人の患者についてALSの進行の抑制が認められる結果が得られました。 安全性評価では、ALS特有の有害事象はありませんでしたが、下痢や肝機能障害などが認められました。 研究グループは、「今後、iPS創薬による第1相試験及び第2相試験の結果に基づいて、次の計画を検討していきます」とコメントしています。