人手不足を感じているIT企業は71.9%、深刻なSE不足 全業種の51.0%を大幅に上回る
非正社員・業種別:「飲食店」がトップも、前年同月から大幅に低下
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」は67.5%となった。業種別のトップで引き続き高水準で推移しているものの、前年同月から16.0ポイント低下となり、人手不足は改善傾向となっている。 総務省「労働力調査」では「飲食店」の就業者数は大きく変化していないなかで、省力化・合理化投資の効果によって人手不足割合が低下したと考えられる。 次いで、スーパーマーケットや百貨店が含まれる「各種商品小売」(65.1%)も6割台で続いた。その他にも、派遣人材の不足が聞かれる「人材派遣・紹介」(58.6%)、正社員同様に人手不足感が強い「メンテナンス・警備・検査」(55.3%)や「旅館・ホテル」(51.6%)など4業種が5割台となった。
就業者の高齢化が深刻、若手層の呼び込みへ「選ばれる会社」としての差別化が必須
人手不足割合は正社員では51.0%、非正社員では28.8%となった。いずれも直近では前年同月比で低下したが、高水準で推移している。人手不足が深刻な業種のなかには、緩和に転じているケースもあるものの、依然として上位10業種の顔ぶれは大きく変わっていない。 こうしたなか、人手不足倒産は急増傾向にある。2024年上半期(1-6月)は182件が発生し、過去最多を大幅に上回るペースで推移している 。そのうち建設業は53件、物流業は27件とそれぞれ増加が顕著で、「2024年問題」が直撃した結果となった。両業種とも人手不足が一因となってオペレーションが回らなくなり、業績が維持できず倒産に追い込まれるケースが続出した。
さらに、就業者の高齢化も追い打ちをかける。総務省「労働力調査」をみると、就業者数のなかで一般的に「定年」の区切りとなる60歳以上の割合は21.8%となり、統計開始以降で過去最高を記録した。一方で、若手層にあたる20-34歳の割合は23.2%となり年々低下し、近い段階で60歳以上の割合を下回る可能性が高い。「2024年問題」に直面する建設・物流業に代表される、高齢にともない現場の就労が難しくなりやすい業種では、若い就業者の確保が急がれる。 こうしたなか、同調査では2023年時点の転職等希望者は1035万人となり、過去最多を記録するなど転職市場は活況を呈している。労働市場の流動化が進めば、より魅力のある企業へ労働力移動が活発化し、労働者から「選ばれる会社」としての勝敗がこれまで以上に鮮明になるだろう。業界を問わず、人材の流出を防ぐには自社でしか得られないスキルや経験、給与水準などの差別化が欠かせない。企業にとって最も重要な経営資源ともいえる人材の確保・定着に向け、企業の人事戦略は一層重要性が増しているといえよう。