人手不足を感じているIT企業は71.9%、深刻なSE不足 全業種の51.0%を大幅に上回る
人手不足は、今や企業経営にとって最重要課題の一つといえる。有効求人倍率の低下や就業者数の増加など、緩やかながら改善を示す傾向が見られるものの雇用のミスマッチもあり、人手不足倒産は過去最多ペースで推移している。建設・物流業における「2024年問題」、団塊の世代が後期高齢者になることでさらなる労働力不足が予想される「2025年問題」など、解決すべき課題は山積しており、事業の継続・発展のために省力化や合理化などの投資が急がれる。
2024年7月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.0%だった。前年同月比で0.4ポイント低下したが、依然として5割を上回るなど高止まりが続いた。 また、非正社員では28.8%だった。前年同月から1.7ポイント低下し、7月としては2年ぶりに3割を下回った。
正社員・業種別:ITエンジニア不足の「情報サービス」が71.9%でトップ、唯一の7割超
正社員の人手不足割合を業種別にみると、主にIT企業が当てはまる「情報サービス」が71.9%でトップだった。唯一の7割超となり、人手不足感が際立っている。 月次ベースの推移でみると、8割に迫った2024年の年初からは若干の低下傾向にあるものの、依然として7割を上回る高水準で推移している。当業界は旺盛なDX需要によって景況感も好調であり、今後も堅調な需要な拡大にともない人手不足は長引くと見込まれる。 企業からは「ソフト開発案件は首都圏を中心とした案件が地域に向けても多く出ているが、スキルマッチした要員が不足しており受注に至らない」(新潟県)や「人手不足が原因で、引き合いも増えているなかでお断りすることも多く、新しいことにチャレンジする時間も確保できない」(香川県)といった声が数多く聞かれた。
その他、7業種が6割台となった。特に、時間外労働の上限規制が強化された、いわゆる「2024年問題」に直面している「建設」は、69.5%で7割に迫る水準だった。企業からは「大規模工場や大型再開発事業の影響で、地場の建設業者は大変な状況」(北海道)や「大阪府の建設業者全般を見渡すと万博工事の影響により、人手不足や資材の高騰に悩まされている業者が大多数」(大阪府)といった、各地の異なる事情を映した声が聞かれている。