「ラーメン店」倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新へ
原材料高騰が直撃、「ラーメン原価」は2年前から1割増の試算
ラーメン店の倒産ペースが加速している。2024年に発生した「ラーメン店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、7月までに49件発生した。前年(53件)からほぼ倍増、過去最多の2020年(54件)を上回るペースで、初の年間100件台に到達する可能性が出てきた。 背景には、人件費や電気代など店舗運営コストの上昇に加え、3年間で1割上昇したラーメン原価の負担増が大きいとみられる。帝国データバンクが、各種統計情報を基にラーメンで使用する原材料のトータルコストを初めて試算した「ラーメン原価(豚骨ベース、東京都区部)」をみると、2024年6月時点の指数は22年平均比で113.5と、2年前から1割超の上昇となった。最も上昇した23年10月(124.4)に比べると上げ幅は小さいものの、依然として高止まりが続く。
特に、チャーシューや豚骨ガラで欠かせない豚肉や背脂は、枝肉ベースで前年比2割近く上昇した。麺や海苔、メンマなどの具材も不作や円安で価格が高騰するほか、スープにこだわる店では24時間加熱するケースも多く、光熱費の値上げによる負担も大きい。ただ、「味」を守るためにコストを下げることは難しく、原材料の値上げペースに耐え切れなくなった店や、値上げを実現してもその後客足が減少した店で、閉店や経営破綻を余儀なくされたケースは多いとみられる。 東京都心などではラーメン1杯=1000円の価格も多いものの、コロナ前から600~800円台で提供を続けているラーメン店では「物価高の影響が深刻」という声が聞かれる。ただ、「1000円の壁」が課題とされるラーメン業界では、他業界に比べて値上げが難しい特有の事情も抱えており、ラーメン文化を維持するための「適正価格」に向けた模索が続きそうだ。